1年前、故障してノロノロとしか走れないオートバイで真っ暗なこの道を走ったとき、いくつかのパゴダを見かけた。当然そのときは帰り着くのに必死で、どんな寺があるのかなど確かめる余裕はまったくなかったが。
今回はそれらのパゴダをチェックに来たのだ。道の正面の尾根にパゴダがあるのが見える。第1のチェックポイントだ。
パゴダの手前には寺の山門があるので、パゴダまで登れる可能性も高い。
山門を入ると境内は林になっていた。
僧房や講堂などの寺の建物は見当たらない。唯一あったのが、この吹き放ちの納屋のような建物と井戸。
山の崖にアコーディオンドアのついた洞窟が見えた。
瞑想用の浅い洞窟かな。どうせ中にはお坊さんのベッドがある程度なんだろうと思って覗いてみたら・・・
なんと! 想像とはまったく違う立派な洞窟だった。
見えている部分だけで50mくらいある。
ドアを開けて中に入ってみる。
二次生成物のフローストーンがわずかだが確認できる。
入口から50mほどの場所に小さなパゴダがあり、そこから先はY字型に二分岐していた。
Y字分岐の左ルートは貫通しているようだが資材置き場になっていて進めそうにない。
Y字分岐の右ルートはやや広いホールになっていてその先はやはり貫通している。
多いなあ、貫通型の鍾乳洞。どういう仕組みで出来るのだろう。
このホール部分にはカーテンや石柱が見られる。
ホール部分は床がきれいに施工されていて、裸足で歩いてもまったく問題ない。
入口の地味なアコーディオンドアの感じからはまったく想像つかない立派な洞窟寺院なのだった。
貫通している出口まで出てみた。
出口部分のすぐ外側は絶壁で、下には川が流れている。
つまりこのホールには出口側からは立ち入ることができないのだ。
川の上には小さな僧房が建っていた。
経典を収めた本棚が洞窟の中に直接置かれていることから、この鍾乳洞のホールが僧房そのものなのだろう。
それにしてもこの堂、地震とか大丈夫なのかな。
僧房の先は川の浸食でえぐれたようになっている。写真で見ると人が歩けそうな洞門に見えるが、実際には四つんばいで歩くのがやっとという大きさだ。
戻ろうとしたら僧房からお坊さんが出てきた。
例によってお茶を飲んでいけというようなことを言っている。接待を受けても言葉もあまり通じないし、どうせ熱いお茶が出てくるだけなので、山に登るからと伝えて辞退すると、辞書を持ってきて挨拶してきた。どうやらミャンマー語と日本語の対訳辞書らしい。
いくつか日本語の挨拶を交わしたあと、パゴダへの登り口を教えてもらった。
パゴダへの登山ルートは、道といっていいかどうか微妙なルートだった。
一応ところどころに柵があるのでルートがわかるが、その柵も体重をかけたらすぐ壊れそう。
ほとんどが崖をよじ登っていく感じだ。
道しるべの柵がなかったらこんな崖絶対登らない。
約10分ほどで尾根の最後の岩場に到着。
形ばかりの柵はあるけれど、もうただの岩登りになっている。
三点支持で岩に取り付きながらなんとか登っていく。
やっと尾根のパゴダに到着。
ここだけはきれいになっているが、タイルが赤いので日射でめちゃくちゃ焼けている。裸足では1秒たりとも歩けない。
申し訳ないけれど、サンダル履きのままタタキの上を歩かせてもらった。
あまり標高は高くないが、しっかりした手すりもあって安心して風景を楽しめる。
中央に見えるのがノゥトゥディ山脈。右奥へと続いている赤い道を通ってここまで来た。
ところどころで枯れ草でも焼いているのか、すこし霞んでいる。日本ではもう見られなくなってしまった光景だ。
反対側のこれから行く方向。いくつか小山をたどりながら、最終的には奥に見える低い丘陵地帯まで行くつもりだ。
左のほうに見える三角形の山はトゥンウェン山。山頂のパゴダが小さく見えるが、たくさんいるであろう参拝者たちは目視できなかった。パゴダへの登山道はこちらから見ると裏側になる。
(2017年01月07日訪問)