高槻市の郊外、山の中腹に広がる柴谷町は洒落た戸建て住宅が続く新興住宅地だ。その中心に芝谷中学校があり、北側はソフトボールくらいできそうな広い球技公園になっている。公園の半分は球技場、半分は芝谷古墳のある雑木林、そして公園の北の一角のわずかな面積に子供の遊び場がある。
その遊び場に、なにやら真っ赤なグロテスクな物体が見える。
ツチグリというキノコを巨大にしたようにも見えるし、毒々しい真っ赤な色と白い斑点は熱帯の巨大な花「ラフレシア」のようでもある・・・。
この物体がタコだと思わせるのは裏側に廻ったときに見える目の部分だ。
目の両側には頭の中へ入れる穴があるが、この辺りの形状は実際の生きているタコのエラ穴に似ていてむしろリアルだと言えるのかもしれない。
タコの形状を簡単に説明すると、ヒトデの上にバフンウニを載せた状態を想像してもらえば良いと思う。ヒトデの脚の部分が滑降部になっていて、バフンウニの回りは回廊があって一周することができる。
だが脚の数が多い割には滑降部は左写真の2ヶ所しかない。トンネルも脚に一ヶ所あるだけで、巨大な胴体の内部にアクセスする方法はない。ずいぶんと効率の悪い遊具だ。
タコの背中側には足がかりのついた広めの登坂部。
右手の部分には鎖場がある。
鎖場のアップ。
左手の部分には一本だけ長く伸びた触手があるが、ここは滑れるでも登れるでもなく、中途半端なスロープになっている。一応回廊部には切り込みがあるのだが、鉄柵がしてあって小さな子供が落ちないようになっている。もともと何の目的で作られたのだろうか。
頭の回りの回廊。
リアルで無表情。死んだような目つきからは楽しさが伝わってこない。
だが全体的な造形力の高さは、おそらく前田環境美術の設計によるものと思われる。
頭の中はかなり広い部屋になっていて、中高生が中でいちゃつくのには適していそうだが、周囲の気取った住宅地の雰囲気からして、お坊ちゃんお嬢ちゃんたちはこういうところではいちゃつかないのであろう。
通常のタコ山では滑降のために頭の中を通過しなければならないのだが、このタコでは頭の中に入る必然性が無く、子供もあまり入っていないようだ。内部には砂がたまっていた。
滑降部は人研ぎでベースの色はサーモンピンク。
ボディは人研ぎではなく普通のモルタルで、一度ピンクの塗装がされたあと現在の赤い塗装になったようだ。ペンキは充分に厚く塗られているのでタコのボディはつやつやしている。
(2003年12月30日訪問)