益田市のビジネスホテルで目を覚ましたのは、まだ7時前だった。昨夜、スパでカラダを伸ばしてくつろげたせいか、昨日までに比べればだいぶ体調がよくなっている。ホテルで朝食を食べ、休憩せずにそのまま旅立つことにした。
おかげで津和野町へ着いたときにはまだ8時台だった。私としてはめったにない、朝からの観光である。
津和野町は歴史的には鎌倉時代からの城下町、江戸時代を通じて亀井家が統治し、四万三千石の石高だった。著名な産業は和紙だったという。まあ、ガイドブックを見ればそのようなことが書いてある。
で、実際に私が持っていた知識はといえば「菖蒲が植わっている」、「錦鯉が泳いでいる」、「他に何があるかはよくわからん」ということだった。
試しにGoogleで「津和野」というワードで画像検索したら、どれも代わり映えしないような写真が並ぶし、その多くが菖蒲のアップの写真だ。
で、実際の津和野の風景はどうだったかというと、やっぱり印象の通りだった。
有名な殿町通りは白壁が続き、上級武士の屋敷が並んでいたであろうと思わせる武家屋敷街の風情はあるが、見どころは「屋敷」ではなくその道の両側にある「水路」なのだ。
この水路がやたらにフォトジェニックなのである。あまりにもその完成度が高いので、ほとんどの観光客は水路に意識が行ってしまい、白壁の奥が近代建築だったとか、駐車場だったりすることはあまり問題にはしないのだろう。
この菖蒲とニシキゴイが津和野観光そのものといっていいと思う。
が、その割に水はあまりきれいじゃなかった。
津和野は「山陰の小京都」とも呼ばれるが、そもそも京都ってこんな感じの場所じゃないよね。
殿町通りは全体で200mほどしかないため、あっというまに観光は終わってしまう。
津和野の町並みで見ごたえがあるのは、むしろ殿町通りのとなりにあたる本町通り部分ではないかと思う。
殿町通りはオレンジ色のタイルの石畳だが、その石畳が切れて舗装に変わる先が本町通りである。
本町通りは商家街だが、よくある重伝建の町並みとは違い、現代建築が半々くらい交じっているし、電柱も残っている。
観光客はあまり歩いていないが、見ごたえのある蔵屋敷がけっこうある。
元妓楼か?
ウナギの寝床の奥のほうにイイ感じのスナックがあった。
こちらは看板建築っぽいバー。
ここは映画村やTDLのシンデレラ城のようなものではなく、普通に人々が生活している町並みなのだ。
そのうえで家並の半分くらいが伝統的町屋ならば、それはもう立派な「古い町並み」と言っていい。
(2004年05月02日訪問)