きょうの最終目的地、
大根島はもともとは火山だったものが、汽水湖に沈んで島になった地形だと考えられている。先ほどの松崎島は川の中洲に人が住んでいたが、湖の中の島に人が住んでいるという地形もかなり珍しい。(琵琶湖には現在でも船でしか行けない有人島が2つあるが...。)
大根島はかつては離れ島だったが、現在は防波堤で陸続きになっている。
その島の西端に
入江の港のすぐ沖には、鳥居のある無人島、京島(下写真)があって、それはちょっとしたビュースポットなのだが、今回は京島を見に来たのではない。
今回のお目当ては、コレ!
廃船である。
木造の廃船が集落のすぐ近くに朽ち果てつつあるのだ。
なんでも、いまの防波堤ができるまえに防波堤代わりに廃船を座礁させたらしいのだが、あるいは船を捨てるに困っていた業者の口実だったのかはわからない。
もしかして、「まぁ、船なんてそこらへんに置いておけば、いつのまにか無くなるもんだ」っていうノリがかつての漁村にはあったのかもしれない。
田舎には自家用車を廃車にせず、自宅の裏庭などに置きっぱなしにしている家がかなりある。数十種類のゴミを分別させるゴミゼロ山村はあるが、その村内で自家用車は裏山で朽ちさせていたりするのだ。理解に苦しむが、「自動車なんかそこらに置いておけば孫の代には土に返る」という感覚なのか。
都会の集合住宅などに住み、時間と空間を極限まで管理し活用している人々には想像できない世界である。
廃船は全部で5艘ある。この船は一番南側で他とは少し離れて置かれている。
長い年月に船板が腐って土になったのか、樹が生えている。ものすごいフォトジェニックな廃船だ。
そもそも廃船は、汚らしいというよりは、むしろ美しい存在だ。
アニメ作家の宮崎駿は、『ホルスの大冒険』『未来少年コナン』『シュナの旅』などで繰り返し廃船のレイアウトを描いている。
絵になるアイテムなのだ。
残りの4艘は入江港のほうに比較的まとまって沈んでいる。
比較的岸に近い場所にもある。
この船にも樹が生えている。
中海は汽水湖なので、水面付近はたぶん淡水に近いのだろう。
いくつもの廃船が並んでいる風景、なかなか見られるものではない。
これらの廃船を松江市や入江集落の人々はどう考えているのだろうか。
おそらく、不法投棄された産廃みたいに早く撤去してほしいと願っているのではないか。
だが、これは観光資源にもなりうる物件ではないかと思う。
弟の話では以前はもっと廃船があったような気がするとのこと。
撤去が進んでいるのだとしたら残念なことだ。いまのうちによく写真を撮っておこう。
もう夕暮れに近く、写真を撮るには光線が不足気味だ。
サイトに掲載する写真は増感しているけれど、もう少し明るいうちに来ればよかった。
次にここに来るとき、まだ船が残っているという保証はないのだから。
2019年現在、廃船は2艘しか残っていないようだ。完全に消滅するのも時間の問題と思われる。
(2005年04月30日訪問)