大山寺西の伽藍の最上部にあるお堂、阿弥陀堂。西の伽藍のかなめともいえる存在だ。
塔頭が並ぶ山道の一番奥まったところにある。
参道には明らかに塔頭の跡と思われる敷地がある。
反対側にも。
かつては塔頭団地といった風情の場所だったのだろう。
もしかして場所が不明の4ヶ寺、普明院、法雲院、寿福院、禅智院はこのあたりにあったのかもしれない。
阿弥陀堂は5間四方の大きな宝形の建物で国重文。屋根は杮葺き。
元々の建物は鎌倉時代にここより山奥に建てられていた常行堂だったのが室町時代になって水害で倒壊、廃材を用いながらこの場所に再建されたという歴史をもつ。
本尊の阿弥陀如来座像は平安末期と推定され、やはり国重文。ただし外からは見えない。
きわめて木割りの太い建物で、出三ツ斗や間斗束なども力強く、いかにも時代を感じさせる建築だ。
向拝の梁がカーブしておらず、直線なのも特徴だが、向拝がそもそも初めからあったのか後補なのかは不明だ。向拝部分の意匠は全体的に新しく感じる。
また手前カドの柱や外周の部材には新しそうな木材が目立つ。これらは当然室町時代ではなく、もしかしたら昭和初期くらいかもしれない。
文化財の案内板を見てもどこが後補なのか詳細はわからないが、目の保養になる名建築だと思う。
(2005年05月04日訪問)