この僧院のあるT字路。ここはパアン郊外のどうということはない小さな村の、どこにでもあるようなT字路だ。でもどういうわけか私は、このT字路を全方向から、昼や夜、乾季や雨季と色々なタイミングで通行している。ここが主要な街道の交差点というわけではない。パアン市に長く駐在している日本人でも、ほとんど来ることがないだろうという辺鄙な場所である。
そして私はこの場所を通りながら、たいてい「どうしてこんな悪路を選んでしまったんだろう」と後悔していたり、「こんな遅い時間にうらぶれた村を走っている自分ってどうなの?」という焦燥の気持ちを抱きながら通っているのだ。あげくのはてに、道に迷う夢を見たときにこの場所が出てきたこともある。夢の中で具体的にあそこだとわかる場面が出てきたのは、ミャンマーではここだけなのだ。それだけ個人的に因縁のある交差点なのである。
こうなると悪夢を断ち切るためにも、この場所をよく知っておくほうがいいだろう。
遅い時間だが、僧院に入ってみることにした。
山門を入ると右側に赤い柵に囲まれたお堂があった。
得度堂だ。
得度堂にはこのように廻りに柵があるケースもある。ただ得度堂は境内の隅のほうにあるのが普通だから、私が入った門は裏門だったのか。
得度堂の結界石。
寺の中心伽藍である講堂はゆるいモン様式。
境内は回廊が縦横に巡っていているので、履物をぬいで回廊を歩くことにした。
時間も遅いので、他の場所をあるくのは不審過ぎる。
回廊の奥には僧房。
(ちょっと写真がブレた)
食堂。
東司か。
回廊に接続した正門がほかにあった。
さらに立派な得度堂があった。
ひとつの寺に得度堂が2つ?
階下がまだ未完成で工事中のようだ。
他に、コンクリのタタキで繋がった小さな仏堂があった。
中は工事の人夫の宿泊所になっているようだった。
このあとはウイブラー山の北麓の道を通ってパアン工業団地のほうへ抜けてみた。
道幅はあるものの、深い砂地の蟻地獄のような悪路で、暑季というのに走行はかなり困難。半泣きになりながら走るタイプのルートだった。
2019年現在、ビェッカ街道とラインブエ街道は舗装が進んでいてそれなりに走れるが、その2つの街道を結ぶ枝道はほとんどがひどい状況だ。
(2019年02月25日訪問)