タンガリーパゴダ

小さな丘の双耳峰に多様なパゴダが並ぶ。

(ミャンマーモン州チャイマロウ)

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次の目的地パアパゥン洞窟寺を目指して街道をひた走り、いくつかの小さな村を通り過ぎた。

村と村のあいだは人の気配が薄い田園地帯だ。周囲は未開拓の地ではなく水田なのだが、天水のため暑季にはまったく作物は育たず、荒れ地のようにしか見えない。

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その乾いた水田の彼方に低い丘陵があり、その山頂にパゴダが見えた。

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う~ん、ここから見える通りのものなんだろうなぁ、スルーしようかなぁ・・・。

ミャンマーではパゴダが見えたというだけでお参りしていたら、数が多過ぎて大変なことになってしまうのだ。

でも私の生涯でこの街道を通ることはもうないかもしれない。たぶん何の変哲もないパゴダなんだろうが、入っておくか。

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しばらく走ると、寺の入口と思われる山門が建設中で、その横に「တောင်ကလေး(タンガリー) ဘုရား(寺院) သို့()」という立て札があった。

タンガリー寺院っていうのか。同じ名前の寺がよくあるなあ。たしか「小さな山」というような意味だったか。

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参道を入るとしばらくは荒れた道が潅木の林の中にくねくねと続いている。

途中、紛らわしい分岐もなく道なりに進む。

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パゴダが見えてきた。

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丘は双耳峰になっていて、一方に大きなパゴダがひとつ、もう一方には小さなパゴダがたくさんある。

先に大きなパゴダがあるほうの丘に登ろう。

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山頂は僧院になっているが、パゴダが立派なので「観光で来ました~、見せてね」という感じで入っていけばOK。

メインとなるパゴダはシュエダゴンパゴダ型。

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パゴダの基壇に登り、自分の守り本尊である牙のないゾウの仏陀に参拝する。

パゴダの基壇はこのあたりで一番高い場所にあるから遠くまで見渡せる。と、いってもなんだかはっきりしない潅木の林がどこまでも続いているだけなのだが。

この一面の潅木林は原生林というわけではない。衛星写真を見ると全面的に幾何学的なパッチワークになっているから、何かに利用中の人工林、あるいは、その二次林なのだと思う。

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せっかくなので僧院の設備もチェックしよう。

木陰の中にいくつかのお堂や祠がある。

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シカを連れた神さま。たぶんナッの外神だと思う。

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仏殿。

中央の仏陀の脇侍のごとく、右にシンウーパゴ、左にシンティワリが控えている。

坊主頭の剃り跡が青々としたリアルなタイプだ。シンウーパゴは珍しい左向き。

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その奥には講堂があった。

食堂も兼ねているかもしれない。

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この僧院から南のほうを見ると、険しい形の山並みが見える。次に向かうパアパゥン洞窟はあの山にあるはずだ。

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続いて、双耳峰のもう一方の丘に登る。

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こちらは参詣用のお堂やパゴダがあるだけで、お坊さんが常駐したり寝起きするような施設はない。

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最初にあったのは仏殿。

内部はまた仏陀、シンウーパゴ、シンティワリの組み合わせ。その他に過去二十八仏が並ぶ。

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シンウーパゴは珍しい左向き。シンウーパゴの姿は太陽の向きを観察していると言われていて、通常は斜め上の方を向いているのだが、この像はどういうわけか水平の方向を見ている。

それに目がぎょろっとしていてちょっと不気味。

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シンティワリも目つきが怖い。

前に置いてある石は重軽石(おもかるいし)。願掛けしながら持ち上げて、軽く感じたら願いがかなうというもの。

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堂内にはムチャリンダ仏が大量に並んでいるコーナーもあった。

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仏殿の左側には多様なパゴダが並んでいる。

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こちらにもシュエダゴンパゴダ型のパゴダと、対になるタコンタイ(石柱)。タコンタイのてっぺんはオシドリ。

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ムチャリンダ仏。

後に並んでいる銀色のパゴダの列が太陽の光を浴びてキラキラと輝いている。

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不気味な人面パゴダ。

同じものをウィンセントーヤでも見たことがあるので、思い付きで作ったものではなく、普遍的なものなのだろう。

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菩提樹を囲むマント仏たち。

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境内の奥には見慣れない様式のお堂があった。

吹き放ちのお堂の中心に四角柱の柱が立っているという構造のお堂だ。

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外周の仏像の数はたぶん42体。

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建物はコートハウスのような構造になっていて、中庭に独立した塔身がある。

この中庭にあとで屋根を掛けるような造りにも見えないので、ここは完成後も吹き抜けの空間になるのだろう。

わけがわからないが、とにかく楽しい発想だ。

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そのお堂の裏側に、四角い基壇のパゴダがあった。気になるのはその手前にある金色のカボチャのようなもの。

ここ、タンガリーパゴダは一般の観光客が行くようなパゴダでもないが、実際に来てみると不思議な仏塔がたくさんあり、充分に楽しめた。来てみてよかったな。

(2019年03月01日訪問)

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