パアパゥン洞窟寺

入洞可能な範囲が1km以上ある巨大鍾乳洞。

(ミャンマーモン州チャイマロウ)

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街道に面して大きな山門があった。青い案内板には「ဖားဘာင်(パアパゥン)ဂူ(洞窟)သို့()」とある。

きょうの旅程で、「ここまでは行きたい」というゴールがここパアパゥン洞窟寺である。

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山門を入って2kmほど走ると、山のふもとに洞窟が見えてきた。

観光バスが何台も停っている。観光地に来てしまった感がすごい。

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時刻は午後2時半。夜明け前に出発して昼食はスナック菓子のみ。サトウキビジュースやレッドブルを飲み続けてここまでがんばってきたが、すこし疲れたので茶店でしばし休憩。

そのあとすぐに洞窟に突入せずに、僧院の建物や周辺の仏塔などの写真を撮っていたら、寺男みたいな人が執拗にミャンマー語で話しかけてくる。どうやら「お前のバスはどれだ?」と訊いているみたい。団体旅行の迷子と勘違いされたようだ。

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まぁ、この寺に来て洞窟に行かずに、誰もいないお堂をひとつひとつ覗き込んでいたら怪しまれるのも無理はない。

講堂は二階桟敷がある珍しい構造だった。

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洞窟への入口は講堂の右側にある。

ここでみな履物を脱いで行くようだ。私も少し離れたわかりやすい場所にサンダルを脱いで階段を登る。

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崖を見上げると中腹に洞口がありパゴダや仏像が並んでいるのが見える。あそこまで行けるのだな。

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階段はタイル敷きできれいに掃き清められている。

きょうはここまでに寺々で焼けたコンクリの上を歩いたりして足の裏がかなりダメージを受けているから、タイル敷きの場所はうれしい。

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洞口に到着。

すごく大きな鍾乳洞だ。仏像の数もすごい。

入口の白いパネルは洞内の案内図。これまで洞窟寺で洞内の地図があった寺はなかったので、なんて親切なんだ。

地図をざっとみて、あまり考えもなくそのまま洞内へ。だが、後になってみるとこれが大きなミスだった。

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とにかく仏像の数がすごいのだが、同じ形、同じ大きさのものを並べるという安易な配置ではなく、色々な大きさの仏像が、色々な角度で配置されているのだ。

そして鍾乳洞としてみても、ただ大きいだけでなく、鍾乳石が豊富。

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巨大なホールの奥へといざなう階段があった。

そこへ入って行く。

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そこは50mくらいの深さの短い支洞で、行き止まりにはパゴダがあった。

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この大ホールには2つの通路があり、階段を登ってパゴダに行き当たる通路と、そこから見下ろした場所に寝釈迦がありその前を通る通路である。

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寝釈迦の前から外に出てみると、さっきふもとから見上げた山腹の同口に出た。

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これでさっきの洞内地図にあった順路❶→❷→❸はすべて見たのかな?

❹はパゴダがあった支洞か?

だとしても❺らしき支洞はどうも見当たらなかった。

それに観光バス数台で来たはずの大勢の観光客はどこに行ったのだろう。もしかしてみんな❺を見にいっているのではないか。

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❺の支洞の入口はどこにあるんだろう。

こんな狭い石段まで登って探してみた。

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礼拝所の通路の行き止まりのところに手すりが切れている個所があり、その外側に出てる女の子たちがいるではないか。

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工事現場みたいな地面がザクザクな通路がある。

行けそうだから行ってみるか。

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しばらく進むと下り階段になり広いホールがあった。

奥からたくさんの人が戻ってきている。

これが❺の支洞なのだな!

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奥のほうも鍾乳石が豊富、かつ天井も高い。

すごい鍾乳洞だ。

カレン州最大の鍾乳洞、サダンケーブより立派ではないのか。

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足下はコンクリで道が造られているが、小豆くらいの小石がバラバラと落ちていて、その上を歩くとすごく痛い。

というか、ほとんどの場所に小石があり、1歩1歩が拷問みたいになってきた。

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まだ続くの? タイル敷きのところから降りて、かれこれ15分以上洞窟の中を歩いている。もう足の裏が痛くて歩きたくない・・・。

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いつのまにか、前のほうから戻ってくる人たちがいなくなり、私と何人かのミャンマー人が奥へ奥へと入って行くだけになっていた。

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ひどいところはこんな感じ。この上を裸足で歩くのは、日本人には無理だよ。

サンダルを隠し持ってくればよかった。

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ミャンマー人が渋滞している。

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すごく狭い穴があってそこで詰まっていたのだ。

ここをしゃがみながら降りて行く。

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今度は地下の川みたいな空洞に出た。

蛇行しながら単調な洞窟がどこまでも続いている。

ここに来て、それまで滑らかに仕上げられていたコンクリの通路が、おろし金みたいなギザギザの仕上げに変わる。弱り目にたたり目という状況で、泣きそう。

通路から降りれば粘土状の地面なので痛くはないが、ぬるぬるでまともに歩けない。

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あれ?

行き止まりの支洞❺に入っていたはずなのに、外に出てしまった。

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みんなそのまま道を歩いていく。

私は狐につままれたような気持ちで彼らのあとをついていくことにした。ちょっと歩くと、最初に観光バスが停っていた駐車場が見えてきた。

このとき私は初めて、洞窟地図の意味を理解したのだった。いま私は❸のところにいるのだ。

私は地図を仏像の配置図くらいに勘違いしていたのだが、あれは広大な鍾乳洞の内部の地図だったのだ。

ということは、私が泣きながら歩いた順路の途中に❹や❺の支洞があったのだろう。途中まですれ違う人が多かったのは、観光バスで来た人たちは❹までを見て、同じ順路を引き返していたのである。

私は半泣きになりながら❶→❷→❸と歩いていたのだった。ゆっくりだが歩きづめで30分かかっているので、洞内は1km以上はあったろうと思う。もし❹、❺の支洞にも入っていれば歩く距離はそれ以上。この鍾乳洞はものすごい規模なのである。

支洞を見落としたことに気付いたが、もう足の痛さには耐え切れないので、2週目は断念せざるをえなかった。もう一度ここに来ることはないかもしれないが、もし機会があれば支洞も含めて全体を見たいものだ。

(2019年03月01日訪問)