ラッカミ山麓パゴダ群

荒れ地にひたすらパゴダが並ぶ、謎の場所。

(ミャンマーカレン州パアン)

ラインブエ街道から分岐したミャインジーグー街道。この街道へ入って2kmほど走ると、家並みが途切れ、周囲は水田地帯になる。そのとき左側を見ていると、遠くに白いパゴダが点々と並んでいるのが見える。

ずいぶん前からこのパゴダ群には気付いていたが、そんなに立派なものにも見えないし、道があるかもわからないから、あえて確かめに行くほどのものではないと考えてきた。

もちろん観光客にオススメはできないし、仕事か何かでパアンに10年駐在したとしても行くような場所ではない。現地のパアンっ子だって誰も行きたがらないだろう。

そんなパゴダだから、きょうみたいな中途半端な空き時間に調査するのがちょうどいいのだ。

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ここが入口か。

入口にはこれといった特徴はない。スマートフォンで GoogleMaps の衛星写真を見られなかったら絶対に入らないであろう道だ。

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荒れた砂利道を500mほど走ると、パゴダが見えてくる。寺らしきものは見当たらず、ただパゴダが建っているだけのようだ。

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一体、誰が、何のためにここにパゴダを建てたのだろう。

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敷地の境界もあるような、ないような。

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よくある千仏庭園では碁盤の目状に仏像が規則的に並んでいるが、このパゴダ群はこれといった規則性がみられない。

決まった通路なり、巡礼方法などもないようだ。

ひとつひとつのパゴダを調べながら荒れ地を行ったり来たりしたものの、パゴダはどれも似ていて大した変化もない。

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焼き付くような日差しの下、カラカラに乾いた荒れ地を無心でパゴダ巡り、自分でももう何をしたらいいのかがわからない。

あらゆるものたちから拒絶されているような孤立感に支配され、静かな狂気のような境地になってくる。そこが変に心地よい・・・。

私はつくづくこんな田舎で誰も省みない寂しいパゴダが好きなんだなぁ。

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衛星写真を見ると、パゴダの数は約45基。

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パゴダはほぼどれも同じなのだが、ほんのわずか、他のパゴダと違う形状のものもある。

これは四角形の基壇部分に金色の蓮弁のような装飾があるパゴダ。

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いくつかのパゴダには文字が刻まれている。

カレン語を表音する、ミャインジーグー文字と呼ばれる文字だ。寄進者の名前か。

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重ね重ね言うが、観光客が行っても楽しめるパゴダではない。

田舎の寂れたパゴダが好きという狂人のみが楽しめる場所である。

(2019年03月06日訪問)

歴史物語ミャンマー 下

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山口 洋一 (著)

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