
村外れの荒れ地の真ん中に塔のようなものが見える。
こんな場所に独立記念碑でもあるまいし、何だろう?
行ってみるか。

近づいて見るとそれは火葬場だった。
なんてさびしい場所なんだろう・・・1本だけあるヤシの木が寂しさを際立たせている。
火葬場が村外れにあるのはミャンマーも日本も同じだ。だから概して火葬場の周りはさびしい場所になるのだが、ここは見渡す限りなにもない。ミャンマーでたくさんの火葬場を見てきたが、これほど寂しい火葬場はほかに知らない。


火葬炉には上屋がない。
雨季には雨ざらしのまま火を入れるのか。

フタがなく、中が見えていた。
この梯子状の鉄パイプの上に薪を積み上げ、その上に遺体を置く。鉄パイプの下には焚きつけ用の小枝を詰めて、下部から着火する。
おそらく最後には、この下の部分に焼け落ちた骨と炭の混ざったものを掻き出すのだと思われる。

炉を上からみると、二重壁になっていた。
理由はちょっと、想像つかない。

続いて、引導場と墓地のほうへ行ってみよう。

引導場の内部。
片側はタイルがあり、ステージが作られている。
おそらくこのステージ部分に棺が置かれ、僧侶もステージ上で読経するのではないか。

引導場の内部全景。
手前の土間は履物を脱ぐための場所だろう。

お墓を見てみる。
棺桶型の墓石が多い。
棺桶型の墓石は、火葬の墓ではなく、この中に遺体が封入されているのではないかと想像している。

長いものは寝棺、短いものは日本でいう座棺のように身体を屈曲させて入れてあるのではないか。

この墓地の墓石には特徴がある。
墓石に花差しが一体化しているのだ。

隅にひとつだけ花差しがある。
日本の墓では花差しは1対だが、ミャンマーでは2つ付けるという考えはなさそうだ。

花差しの付け方にはそれぞれに創意工夫が見られる。

花が差してある墓もあった。
ミャンマーでは墓参りはしないという話を聞いてきたが、なんとなくこの墓地は定期的に墓参している人がいるように思われる。
(2019年03月10日訪問)