女木島のオーテ

村を潮風から守る城壁のような石垣。

(香川県高松市女木町)

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女木島には2つの集落しかない。島の西側の西浦と、東側の東浦だ。

カーフェリーが着く港は東浦にあり、小さな海水浴場がある。その浜辺に行ってみた。

対岸には高松の市街地。距離は4kmほどしかないから、すごく近くに見える。四国に住んでいてもあまり見慣れない風景だ。

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高松は海岸線をもつ市街地だけれど、海岸線には塩田のあとを埋め立てて造られた工場や倉庫が並んでいて自然の砂浜はまったくない。女木島や男木島は、市街地から交通の便がよい手軽な海水浴場なのだ。

その海水浴場から東浦の集落は道ひとつ挟んでいるだけだから、村はほぼ海岸線に接していることになる。

だが海岸から集落を見ると、異様なものが目に入る。

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平屋の屋根ほどの高さの石垣が、城塞都市のように村を隠しているのだ。

この石垣を「オーテ」という。

女木島では、海が荒れて風向きが悪いと海の飛沫がそのまま家に降りかかるような気象条件になることがあるらしい。現在は海岸に道路と防波堤ができて海岸線は20~30m後退しているが、以前はこの石垣の外がすぐ海浜だったのだ。

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そのため、女木島の人々は長い時間をかけてこの城壁のような石垣を海岸に構築したのだ。

もちろんこの一帯が石材を産出する場所だという条件もあっただろう。

徳島でも南の海岸地帯に行くと、海風を防ぐ石垣を持つ家がわずかに見られるが、このオーテはそういうレベルのものじゃない。全国的に見てもかなり特異な風景ではないかと思う。

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石垣のすぐ裏側は人家になっている。

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石垣と一体化したような家。

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下屋が石垣に載っているので、まるで人家の壁が石積みになっているような感じだ。

日本には石積みの家屋って非常に少ない。

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やや崩れかけた石垣。

こういう自然石の乱積みがオーテの古い形式なんじゃないだろうか。

石垣の歴史は詳しくはわかっていないが、江戸初期には造られていたと考えられている。

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家への入口もクランク状になっていて、潮風が直接入らない工夫がしてある。

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左側の切り石の谷積みは比較的新しいオーテだ。もっとも新しいと言っても少なくとも数十年は経っているだろう。

花崗岩で、対岸の庵治から持ってきた庵治石だと思う。

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横から見たところ。

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中に入ってみよう。

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石垣ギリギリまで建物が寄せてある。こうして隙間なく建物を建てることで風を防ぐのだろう。

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村を歩くと、道に庭が接しておらず、建物の壁が目立つ。

もとから島のわずか平地に成立している漁村なので広々とした庭のあるような村ではないのだが、わずかな庭は建物や石垣に抱かれるようなレイアウトになっている。

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改めて衛星写真で見ると、コの字形の間取り、L字形の間取りが多いことがわかる。海側にガードするような配置だからコの字というより(うけばこ)型とでも言ったほうがいいかもしれない。

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石垣の上にさらにコンクリの壁を造っている家もある。

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少し路地を歩いてみよう。

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石垣と長屋門で庭を抱き込んだ家。

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路地は建物の外壁と石垣の間に続いている。

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コンクリで固められた塀。元々は石垣だったのかもしれない。

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とても背の高い塀だ。

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両側が石垣の路地。

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中庭は見えない。

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古ぼけた下見板の納屋。

焼き板の建物は見当たらなかった。

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漁村らしい納屋。

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海岸から離れた村外れの畑が目立つ場所まで来た。

ん~?

見慣れない長屋がある!

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幅は3間(5.4m)、長さは40間(36m)という堂々たる長屋。でも周囲は畑という謎の立地。

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う~ん、これはなんぞ?

工場の宿舎か何かか?

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石垣の上に築地を載せた家。

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入母屋の屋根に下屋を出した家が目立つ。

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両側が家の外壁。

庭はこの内側にあるのだろう。

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Y字路の細い建物。

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高い塀に囲まれた小さな庭のある家。

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突き当たりの路地が多く迷路のよう。

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夏祭りのポスターが貼られた蔵。

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高いフェリー料金を払って車を持ってきたけれど、結局車は港の駐車場に置いたまま、1時間以上路地を歩いていたのだった。

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村で見かけた滑り台のひとつ。

FRP滑降部のアーチデッキ台。四国では平凡な滑り台。

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大永ドリーム製の、公団的な滑り台。

島の遊具はこれといった特徴的なものは見当たらなかった。

(2007年08月12日訪問)

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