海軍航空隊士官住宅

大戦中の営外官舎が現在も残っている。

(徳島県松茂町広島宮ノ後)

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松茂町は平成の大合併でも合併しなかった小さな自治体だ。土地のかなりの面積が徳島空港および共用する自衛隊の施設であり、近隣の鳴門市や徳島市と合併するメリットが少なかったのだろう。

その松茂町の西のはずれに、旧海軍航空隊の士官用の官舎の建物がいまも残っているというので見に行った。場所は住宅地の奥まったところで、偶然この道を通るということはまずないだろう。

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この場所は旧軍の基地の外側で、いわゆる営外官舎である。おそらく士官のための家族住宅だったのではないかと思う。建物は1棟に2戸が入居する長屋で、一部は半分だけが切り取られた状態になっている棟もある。

いま、改めて航空写真で詳細に見てみると、8棟の建物が確認できるが、紹介するのは①、③、④、⑥、⑧の建物になる。(他は実地で気付かなかった。)

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①の建物。

現在は空き家だが、もっとも改修が入っていない棟で、ほぼ戦時中の原型を留めていると思われる。

こうして見ると、ただの古い長屋みたいに見えるのだが、これがかつての士官住宅だったという明確な根拠がある。

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それがこれ。

妻面にある通風口(?)に取り付けられているプレートだ。

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「財代一〇号 丙九、十號住宅 昭十七年十月十九日竣工」と書かれている。

丙タイプの官舎の9号室、10号室というようなことだろう。

この上のランクの甲、乙タイプもあったのだろうか。

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④の建物。

西側の下屋部分や北側がトタン板で覆われている。

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プレートは21号室、22号室となっている。

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長屋は2戸続きで、長屋と長屋の間には狭い路地がある。ここは③棟の西側の路地。

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③の建物のプレートは17号室、18号室となっている。

このことから、官舎は1列が3棟で、部屋番号は南西の角を1号室としていたことがわかる。

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図で書くとこうなる。

古い航空写真と地割りから、西側の棟は4列、東側は5列だったと推定される。部屋番号はこのようになっていたはずだ。

ピンク色が現存する官舎である。

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⑥の最も北側の建物。

プレートは補修で見えなくなっているが、おそらく25号室、26号室であろう。

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⑧の建物。

19号室、20号室だったであろう。

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ここ松茂営外官舎は珍しい旧軍の遺構だが、建物としては単なる古びた長屋でしかないため、文化財的な価値はなく、消え行くだけの運命であろう。

見ておくなら今のうちだ。

(2008年05月05日訪問)

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