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阿波國すきま漫遊記(第3話)

徳島の映画館を巡る。映画館といっても、芝居小屋を起源としてその終末期に映画を上映するに至った施設である。

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田舎町に古い映画館があることに気付いたのは中学生の頃だったと思う。私が高校まで住んだ前橋市。自転車で郊外を徘徊していたとき、駒形町の裏路地に古ぼけた映画館の建物が残っているのを見かけた。役者絵が掛かった古い建物だった。でもそれからずいぶん長いあいだ、映画館は心の片隅に引っかかってはいたけれど、特別に写真に収めたい対象ではなかった。

徳島に住んで2年目、小松島市の板野という小さな町で廃業した映画館を偶然に見かけた。乗り物が自転車から四輪車に変わったけれど、あいかわらず田舎の裏路地を徘徊していたときのことだ。その道の狭さと「こんなところに映画館が!」という意外さが、中学時代に前橋で見た風景を急に思い出させたのだ。

前橋の映画館は大学時代に一度再訪してみたが、そのときにはもう見つけることはできなかった。取り壊されたのか、それとも私の記憶が違っていたのか、あるいはその映画館自体が夢で見た風景だったのかもしれなかった。

小松島板野の映画館を発見したときはもう日暮れだったので明るい時刻にちゃんと写真を撮りに来ようと心に決めたが、それから1年近くの時が過ぎてしまった。2004年、小松島方面の滑り台と寺巡りのついでに、今日こそは写真を撮るぞ板野を訪れてみると、なんと映画館は直近に取り壊され更地になっていた。

たぶん来るのが1ヶ月かそこら遅かったのだ・・・。

こんな経験は1度ではない。

すぐに再訪しておくべきだったのだ。自分に呪いの声をあげながらその場に膝から崩れ落ちてしまった。

こうして私は、県内の映画館はすべて見ておこうと心に決めたのである。

続きは執筆中...