馬坂集落。
群馬県
長野県と群馬県の県境はほとんどの部分が日本海と太平洋の分水嶺なのだが、なぜか馬坂集落部分が分水嶺から10kmほど群馬県にめり込んでいるのだ。つまり馬坂集落に降った雨は太平洋にそそぐ。
県道を見てもらうとよくわかるのだが、県境の長野県側は緩やかな斜面、群馬県側は道路がつづら折りのカーブが続く険しい道になっている。だから馬坂集落から買い物などで長野方面にアクセスするのは容易ではなく、生活は群馬県側に依存している。
集落を拡大してみると中央を流れる川が県境で、北側が長野県の
この集落の中ほどにはすばらしい段畑があり、2002年に訪れたときの様子を紹介している。
平坦地が少ないため、集落は密集して多くの建物が2階建て以上で、写真中央の納屋は3階建てだ。
2階建ての養蚕農家も、梁方向、桁方向の両方にバルコニーを付き出している。空中を効率よく使うためだ。
これは以前に群馬県北部の根利の養蚕農家でも見られた造り。
3階建ての蚕室。
しかも桁方向にバルコニー。ちょっと日本離れした、ヨーロッパのチロル地方の建物を見ているよう。
氏神様が背後の段畑の中にあるのも、ここまで見てきた南牧の集落に多く見られるパターンだ。
今は杉林になっているが、おそらく以前の風景は畑の中に建つ神社だったはず。
裏の畑に登る農道。
野良仕事をするために歩くだけでヘトヘトになりそう。
馬坂集落で最もアイコニックな蚕室。なんと4階建て。
小屋裏に力天井を置いて4階にしている養蚕農家は他にもときどきあるが、この蚕室は4階部分にも開口部がある本格的な4階建て。
屋根が風でめくれないように木材で押さえている。ノコギリみたいに見えるのは
冬に備えて沢山の薪が積まれている。
厳しい土地だがまだ暮らしている家が多い。
2階の妻側に開口部があるのが特徴。
群馬の平野部ではあまり見かけない造りだと思う。
2階の開口部の外周が雨戸ではなく、障子戸になっている家が多いのも特徴か。
2階は本来は養蚕の上蔟室で、1部屋の広い空間になっている。これでは冬場は寒すぎるから、2階は居住空間ではなく物置になっているだろう。
横に連結した巨大な切妻屋根。
主屋と主屋の間にも屋根が架かっていて、内部には土蔵がある。
集落の西のはずれにある巨大な民家。内部は3階だろう。
元は養蚕農家だが、商いや旅館などをしていたのではないか。
(2011年04月03日訪問)
