熱乃湯演芸場

湯もみを実演する劇場だが、寄席も開催されている。

(群馬県草津町草津)

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草津温泉。

草津温泉スキー場で半日スキーを楽しんでから温泉街に来た。慣れない筋肉を使って遊び疲れたので、温泉に入って疲れを癒そうという趣向。

でもその前に少し湯畑周辺をぶらぶらしよう。ミャンマー人の友達が一緒なので、日本の温泉風情も楽しんでもらいたいからだ。

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湯畑は草津温泉のシンボルで、高温の温泉を加水せずに温度を下げ、同時に硫黄を採取するための施設だ。

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一目見ただけで、草津温泉の湯量の豊富さがわかる。

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お湯は樋のようなところを流れ冷やされることで、溶解度が低下して硫黄が析出する。

この硫黄を年3回集めているということだ。

でもこの量だと、工業用途として使うにはあまりにも少ない。

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以前は湯畑周辺の土産物屋で「湯の花」と称する硫黄粉末が売られていたが、最近見かけなくなった。

家庭の風呂釜が壊れるというクレームが多かったのか、あるいは、売られていた硫黄粉末は石油の脱硫で生産されたものという噂が本当で、販売を取りやめたのか。

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さてこの湯畑の脇に、時計台のような塔屋を載せたノスタルジックな建物がある。

熱乃湯(ねつのゆ)だ。

・・・でも記事を書くつもりもなかったので建物の近影を撮り忘れた。

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仕方がないので、雪のない別の季節に撮った写真を載せておこう。

実は草津温泉には仕事の区切りがついたときなど、結構な頻度で訪れていて、そのせいで逆に写真があまりないのだ。

あまりにも遊びに行きすぎると、写真撮らなくなってしまうよね。きょうもサイトと無関係な遊びの日なのでカメラも持ってきていない。写真の色がやけに飽和しているのは iPhone で撮影しているからだ。

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これは2012年の熱乃湯の様子。先代の建物になる。

現在の熱乃湯は2015年に改装されたものだ。

熱乃湯は「湯」と言っても現在は入浴はできず、湯もみの実演を見せるだけだ。

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これまで熱乃湯の湯もみショーを見ようと思ったことは一度もなかったのだが、外国の友達を連れていたのでせっかくだから見て行くかと急に思い立って、入場することにした。

入場料は大人600円。

すっごく高いというのでもないけれど、わざわざ見るものでもないだろうと思っていた。だって、温泉によっては素っ裸で自分が湯もみすることもあるし、大学時代に行っていた銭湯もセルフ湯もみだった。

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でも入場してみてびっくり。

内部は2階桟敷のある劇場建築だったのだ。

あらためてネットで検索してみると、先代の建物のときから2階桟敷はあって、基本的な構造はあまり変わっていないみたいだ。

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これまで、映画館や芝居小屋の建物を探していきたけれど、こんなところに劇場建築があったんだ!

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しかも木造。

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しかも、自由に2階に上ることができる。

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2階桟敷は湯もみを見るにはあまりよい場所ではないので、空いていれば1階の砂被り席、いや、湯かぶり席をとるのがいいと思う。

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2階の向こう桟敷から見た舞台。

実は熱乃湯は夜には寄席になって、落語が演じられるのだ。

これはもはや温泉ではなく演芸場である。よって、記事のタイトルは「熱乃湯演芸場」とした。

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開演時間が近づき、舞台の照明が落とされる。

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踊り子さんたちが登場。

思っていたより年齢が高い。

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短い説明があって、所定の位置につく。

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草津節にあわせて、湯をかき回す。

ん~、やっぱり思ってた通りのショーだ。なんというか盛り上がらない。おばちゃんたちの所作にキレがないし悪く言うと「イヤイヤ作業してます」って感じ。

まぁ、もともと芸じゃなくて作業だから仕方ないのか。

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このショー、昭和からずっとこんな感じで続いてきたのだろうか。

もしかして昭和の時代には若い娘がやってて、着物の裾からふくらはぎがチラチラ見えるのを楽しむ施設だったりしてなかった? 

お座敷で、豆腐を田んぼに見立てて田植えをさせるという遊びがあって、若い芸者さんの着物の裾をまくらせるのが目的だったなんて話聞いたことあるんだけど。

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ちなみに現在、草津温泉にはストリップ劇場は残っていない。

最後まで残った草津ロック座は、湯畑からバスターミナルへ向かう目抜き通りの矢印のあたりにあった。閉館したのは2010年だったようだ。

(2022年02月03日訪問)