仕事の関係で、東京の銀座4丁目界隈に行くことがあった。
晴海通りにほぼ正円の道路があるのが以前から気になっていたのだが、この部分の建物の撤去工事が始まったのでもしかしたら、丸い道路自体が整地されて無くなってしまうのではないかと思って写真を撮っておくことにした。
建物の撤去はあらかた終わりつつあるところだった。
かつて、この丸い敷地には道の両側にそれぞれ半月形平面の低層のビルがあって、東側は小さな店がならぶ雑居ビル、西側はシネパトスという映画館のエントランスになっていた。
実際の映画館は晴海通りの下、つまり地下にあったのだが、東日本大震災の際に耐震性に問題が見つかり、営業が出来なくなり、2013年3月に閉館したらしい。
いま、その地下街も耐震工事をしているのかもしれない。
この円形の道路は地図などで見るとロータリーの跡かなと思わせるのだが、晴海通りは6車線で交通量も非常に多いことから、このような狭い円環道路では交通量がさばけないだろう。
おそらく交差点構造としてのロータリーとして機能したことはほぼなかったか、あったとしても非常に短期間だけだったろう。
このロータリーのある区画は、戦前には掘割だった。
それが終戦後、空襲で焼けた建物の残骸などが投げ込まれ、埋め立て地となった比較的新しい土地だ。
その土地造成をしたときに、晴海通りとの交点にこのロータリーが造られたのだ。
西側の風景。西側も工事が進んでいる。
この半月の敷地に地下の映画館へ下りてゆくエントランスがあったのだ。
私は以前に、音羽、高円寺、大森に住んだことがあるけれど、シネパトスで映画を見たことは一度もなかったな。
その後、この場所は広場と花壇になったようだ。
土地の価値が途方もない場所だから、いつまでも花壇のままではいられないかもしれないが、とりあえず2021年現在、円形の道路はまだ残っている。
(2016年05月13日訪問)