二子玉川ライズで雑貨屋をみたり食事をして昼になったが、まだ夕方までには少し時間がある。そこで二子玉川から2kmほど離れた
等々力渓谷は東急大井町線の等々力駅が近いので電車でアクセスしやすい景勝地。今回は初めて車で訪問したので勝手がわからず、近くにある野毛町公園の駐車場に車を停めて歩くことにした。
等々力渓谷は、谷沢川という川が武蔵野台地から多摩川崖線へ流れ落ちるところに形成された深い谷。
環八通りは橋でその谷を渡っているが、よほど注意していないと気付かないような場所だ。
渓谷へ下りる道は何ヶ所かあるけれど、環八通りの場合は外回り(道の南側)の歩道からしか降りられない。
玉沢橋の北詰め斜面にレストランがあって、その階段を通らせてもらって渓谷に降りる。この近道が、都会の公園らしい風情があるので、私としては一番オススメ。
あからさまに私道なので、通っていいのかは微妙だけど、立入禁止などとも書いてないので通らせてもらう。
気が進まない場合は橋の南詰めの公園入口からも谷に降りられる。
谷に降りると、そこは環八通りの下とは思えないうっそうとした森の中になる。
等々力渓谷はこの環八通りを中心として、北へ300m、南へ300mほどの長さがある。きょうは南北両方を踏破するつもり。
まず北側、等々力駅方面へ歩こう。
遊歩道はほぼ舗装されていて歩きやすい。
崖の法面は何にも利用されておらず、ムクノキやカシの林冠から、低層、林床と続くの常緑樹の森。つまり南関東の潜在植生であり、ミニ原生林的な景観。
「原生林」って数百年は人の手が入らず、災害も起きないときに成立する一種の「状態」。普通の人が考えるほど多くはない。
武蔵野の森はほぼ薪炭林で、バイオマスの生産地であり人工林である。
私が暮らす群馬県は山がちな土地だけど、街から見える山の斜面のほとんどは、いま人間が利用している森か、かつて人間が利用していた森。奥山のほうへ行かなければ原生林はないのだ。
そんな原生林の雰囲気がこんな街の中に忽然と現われるのが等々力渓谷の魅力だと想う。
特にどこかへ行くのに近道というわけではないが、散歩をしている人や、駅の行き帰りに利用している人がいる。
ただねぇ、川の水が汚いのよ、すごく。
洗濯排水の匂いがするし、実際泡立っている。絶対水に手をつけたくない。
説明によれば、上流部で雨水などの流入がないため、仙川の水を浄化して入れているというけれど、どういうことなのか。世田谷区は下水道の普及率は100%というけれど、言葉通りの状況ではないってこと??
斜面に崖屋を作っている家があった。
若いときだったら、東京でこんな秘密の森みたいなところに住みたいものだなどと夢想したけれど、いまはもうこんなところで生活したいとは思わないな。
それでも環八通りから北側は谷も狭く、野趣のある場所だ。
時間がない場合は、北半分だけ散策するのがいいと思う。
遊歩道の終点、ゴルフ橋。
この付近にはわずかに湧水がある。
ゴルフ橋から先は、両側が擁壁になった都会の川に変わり、歩くことはできない。
ゴルフ橋の上へ出てみた。
等々力駅から歩く場合はここが渓谷への降り口になる。
周辺の地図があった。
地図を見る限り、渓谷へ入れるルートは黒い➡の8ヶ所。地図には環八通りのレストランの階段は書かれていないので、実際は9ヶ所か。
線路に近いところにある「水車小屋跡」が気になる。
ゴルフ橋南詰めの景観。
やっぱり渓谷があるようには見えない。
等々力駅への道。
東京の住宅街のたたずまいですな。
さて、ここまでで等々力渓谷の北半分。
これから南半分、つまり環八通りから南側へ歩く。
南半分はすこし空が広く、公園になっている。
水面近くにある沈下橋。
このエリアには等々力不動というお寺と、古墳がある。
これは古墳のひとつ、等々力渓谷3号横穴。
つまり横穴墓。
中には入れないが、ガラス張りになっているので内部は観察できる。
羨道がアーチ状になっている。
2号横穴跡。
いまは跡形もない。
つまりこのあたりの少し開けた斜面は比較的最近造成されたということなのだろう。
1号横穴跡。
こちらも痕跡は感じられなかった。
林床はアズマネザサとアオキ。
今は冬なので、ムクノキ(中央の手前の縦すじのある樹)やケヤキ(中央奥の枝分かれの多い樹)は落葉して公園内は明るい。
林床はシャガかな。
公園の中には何ヶ所か湧水もある。
量はすくないけれど、集まって小さな川になっていた。
南半分の公園エリアでは、渓谷への出入りの階段もしっかりしている。
住宅街から渓谷を見るとこんな感じ。
(2021年02月25日訪問)