続いて、
那賀川は徳島県南部を東西に流れる延長125kmもある大きな川で、上流部は多雨地帯で林業が盛んだ。川の様相は河口部の平野部から先行谷に入り、その先はV字谷の穿入蛇行が続く。これまで紹介した園瀬川、勝浦川とはちょっと風景が違うと感じる。
沈下橋は谷底平野や氾濫原で堤防のある場所に造られがちだと思うのだが、那賀川のかなりの区間は穿入蛇行河川なので沈下橋よりも吊り橋が多い地域だ。
地質的に見ると那賀川の地下には仏像構造線という地質の分かれ目が通っている。那賀川の左岸(北側)は「秩父帯」、右岸(南側)は「四万十帯」という地質になっている。個人的な感覚だが秩父帯と四万十帯では風景に違いがあって、那賀川の北側の村には棚田が多く、南側の村には段畑が多い印象だ。
四国では秩父帯では険しい山並みが多く、秘境になりがちで、もう一方の四万十帯は一面の山地ではあるが川は蛇行してゆるゆると続き、上流に向かっているのにどこまで行っても開けたまま山が深くならない感じがする。
那賀川に沿って続く国道195号線の車窓から見る風景は四万十帯のそれで、カーブが多いけれど秘境感はなく、高知県へ向かう走りやすい国道というイメージである。
さて、その那賀川の上流部で見かけた吊り橋をいくつか紹介しようと思う。
徳島市に住んでいるサラリーマンが、街から隔絶された山奥で仕事を忘れて一人になりたいような時、オススメなのが(旧)木沢村だ。
木沢村には
紹介する吊り橋は旧木頭村役場のある村の中心地域にある、発電所に渡るための専用の橋だ。
対岸には坂州発電所があるだけで、たぶん一般車両は通行できないんじゃないかな。
橋床は木で出来ている。
対岸にある坂州発電所。
水は坂州木頭川の上流にある追立ダムから引いている。
発電所の近くの水面を見ると不自然に泡立っている場所がある。
もしかして発電に使った水を川底から放水しているのか? 発電所のことはほとんど知らないのだけど、こういうものなのだろうか。
(2003年05月24日訪問)