長河原の流れ橋と索道

対岸の畑地へ行く唯一の方法。

(徳島県上勝町旭長川原)

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勝浦川の上流部。

徳島県民でもあまり立ち寄らない山深い場所だ。

もうこの奥には集落が1つ2つしかないというような源流に近い場所で、勝浦川の本流にかかる流れ橋を見かけた。

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それが写真矢印のところにある小さな流れ橋。

川の両側はV字谷で杉の人工林。平地は谷底にわずかにあるだけで、対岸の土地の持ち主が畑仕事をするために渡る橋だ。

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橋桁は1本の木の板。一本橋に近く、歩くにはバランス感覚が必要。

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増水で頻繁に流されるのだろう。橋桁の両側は摩耗して丸くなってしまっている。

こんな細い橋だから収穫コンテナなどを持って渡ることはむずかしい。

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そのためすぐ近くに索道があり、作物はゴンドラで運び出していた。

ちょっと分かりにくい写真になってしまったが、右上から奥の小屋のほうに向かって、赤茶色のケーブルが見える。

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小屋側から見ると分かりやすい。

ゴンドラは1本の主索(しゅさく)に吊られていて、往復するようになっている。

ゴンドラを動かすのは曳索(えいさく)という別のケーブルになるが、断線してしまっているようだ。写真ではゴンドラから左側に曳索が残っているが、右方向へ牽引するためのケーブルが見当たらない。

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曳索を取り付けていたと思われる滑車は残っている。

曳索は本来はループ状になっていたはずだ。

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県道側にも滑車がある。

このように、主索から吊られた1つのゴンドラが、曳索に引かれて行ったり来たりする索道を「複線往復式索道」という。

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貨物は畑で作られている仏花用の枝ではないかと思う。

(2003年05月24日訪問)