
冬の夕方、東の空に満月が輝く時刻に入間川の鯨井地区にあるに来ている。ここには寺山堰という頭首工がある。
およそ観光地とも言いがたい物件で、駐車場などもない。路上駐車して土手を登る。ここに来た理由は航空写真で堰の上が歩けそうだったからだ。


ここ寺山堰は埼玉の堰の中でも、上を歩けそうな最有力候補なのだ。

堰はやけに複雑な構造をしていて、南側は越流堤、北側には魚道と思われる階段上の構造物がある。
観光的な堰ではないけれど、自由に近づけるし構造も面白いので意外に楽しい堰だ。

でも「どうぞ堰の上を歩いて楽しんでください」って構造ではない・・・。
写真は右岸側。

堰の上に直接取りつくことはできないので、堰の下側の床止め工のところから川に入り、床止め工のブロックの上を歩いて堰に近づくしかない。

堰の上は飛石状になっているのだが、右岸側には越流堤があって歩けず、途中からよじ登るしかなかった。
でもなんだか越流堤の部分のコンクリの色が違う。もしかしたら越流堤は右岸にある樋門に水圧がかからないように後から付けられたもので、もともとは全体が飛石状だった可能性もある。

堰の上に登った。
飛石状の構造物は上面が平らで間隔も密なので簡単に人が歩ける造りだ。
こうして見ると、やはり歩くことを前提に造られたのではと思ってしまう。

左岸側。
なぜか堰は均一に越流しておらず、左岸側に集中して越流している。
左岸側に魚道があるので流水を集中させるための意図的な造りだと思われる。

飛石の上にもかなり水が載っていて、子どもを歩かせるのはやめておいたほうがよさそう。
きょうはこのくらいの水深なら歩ける防水のハイカットブーツを履いてきているので渡り切ることができた。
かろうじて「歩ける堰」と言っていいのではないか。

魚道と思われる階段は角丸になっている。
似たようなものを都幾川の玉川橋の近くで見たことがあるな。

実際の堰は飛石の横にあるので、水面に近い場所から川面を見ることができる。
こちらは上流側。
夕方だからか、川から洗剤の匂いがしている。

せっかくなので用水の取水部分も見ておこうか。
取水口は右岸にある。

途中鉄板でふさがれたような場所があるがここに過去に樋門を開閉する水門があったのじゃないかな。

堤防の内側。
用水にはボールト状の屋根がついいて、そのままサイフォンになっているようだった。
入間川は流域が広く、まだまだ見るべきものもあると思うが、ここから上流はまた別の機会に訪れるつもりだ。
(2022年11月06日訪問)