折渡千体地蔵尊をあとにして、車で1分も走らないうちにさらに不可解な看板を発見。
そこには「岩城修弘霊場入口」とある。峠道からわき道にそれ、車一台がようやっと通行できるような急峻な林道を入った先にあるらしい。
もうあたりもうす暗くなってきたので気後れはあったが、旅の帰路には通らない道なので思い切って立ち寄ることに。
もし林道の突き当たりにあるのが単なる岩城さんのお宅だったら、「あれぇ~、国道7号線に出ようとして、道、まちがえましたぁ。」とかなんとか言ってごまかすしかない。
林道の突き当たりにあったのは、岩城さんのお宅ではなく、れっきとした霊場だった。説明によれば十三仏霊場ということで、仏教のようである。
本殿は富士浅間造りのような感じでで神社風。意外とちゃんとした造りだ。
写真は本殿の隣にあった不可解な堂。なんだか、西日本のほうにある魔除けの大凧みたいな絵が描かれている。
肝心の十三仏は本殿ではなく、境内に点在している。
説明書きによれば、「この霊場は今病気で苦しんでいるあなた方を治そう(救おう)という目的で建てたのです。云々」とあり、どうも高橋修悟さんが私費を投じて人々の救済のために造った霊場のようだ。
霊験はかなり広くカバーしている。
十三仏めぐりの途中にあった祭壇。中央には年配の婦人の写真が掛けられ、その左右には円空仏のような、オシラサマのような仏像が並んでいる。
まるで遠野物語イメージ写真集から抜け出てきたような光景だ。
この霊場、一本筋の通った本格的な個人霊場と見た。いずれまたちゃんとした時間に訪れたいものである。
このあと秋田市に移動し、秋田空港近くのドライバー向けの定食屋で夕飯にした。近くにビジネスホテルもあったのでそのまま宿泊すれば良かったのだが、なぜかすぐに宿に入らず、健康ランドでもないかとまた車を走らせていた。
市街地を過ぎ、港湾地帯を抜けて、いつのまにか海岸沿いを走っていた。明日は男鹿半島を見るつもりだったから、あわよくばなるべく男鹿半島に近い場所で泊まろうと思ったのだが、八郎潟まで車を走らせてみて、とても宿が見つかる場所ではないとわかり、結局また秋田市郊外まで引き返して安宿に転がり込んだのだった。
(1999年08月23日訪問)