作間神社で訊いた通り木工所のわきの細い路地を入ると、その奥には1軒の農家があり、目的の水車小屋はその農家の庭にあった。近くまで寄ってみると一応看板が立っているので、庭に入らせてもらって見学してもいいのであろう。(それにしても表通りには何の目印もないので、知らなければ絶対にたどり着けない。)
水車小屋はアルミサッシュのはまったトタン造。田園牧歌調の茅葺き屋根の小屋みたいなものを期待した向きには、夢もへったくれもない建物だ。
だが、こういう水車小屋こそ本当に生き生きした水車小屋だと言えるのではないか。清潔だし、ちゃんと使えますっていう主張が感じられる。
さて、この水車の水輪は、1対のくも手に木箱が取り付けられているという特殊な形態をしている。こういう水車の形式を「箱水車」と呼ぶ。ある程度の落差があり水量が少ないところに作られる。
スムースに回転する普通の水車と異なり、回転速度は一定ではない。箱に水が溜まるまで止まったままで、箱の水が一定量に達すると“ばったん"“ざざーっ"と回転する。この音から「ばったん水車」とも呼ばれることがある。
残念ながらこの日は稼働していなかった。
内部の様子はガラス戸ごしによく見えるようになっている。箱水車の水輪の構造上搗き臼であり、数も1つと限られてしまう。
箱水車は規模からして小さなものであり、自家用や小規模な精米などに向いている水車だ。
(2001年04月01日訪問)