八戸市の南部、新井田川の谷あいにある寺。「清水寺」という名称に魅かれ、もしかして舞台でもあるかと思って立ち寄ってみた。
寺の背後は低い丘陵で、狭い谷に入り込むように棚田が作られている。
境内は薬医門、本堂、鐘堂、水盤舎、庫裏、東司。
本堂は出来立ての建物だ。残念ながら舞台造の寺ではなかった。だが方5間の大きな木造本堂でとても立派な建物だ。軒の組み物のや彫物などもしっかり作られている。
本堂の左側を入ると、杉木立の中に観音堂がある。
室町末期の堂で、青森県内では最古の建物だという。国重文に指定されている。
円柱を用いたいかにも古そうな趣の堂だ。
だが見ればほとんどの部材は新しいものだ。古い部材は柱と梁くらいか。文化財指定時に創建当初の形に戻されたのだとのこと。おそらく復元ざれる前は後年の補修などで大きく姿を変えていたのだろう。
確かにどんな木造建築も補修しなければ何百年も持たないのだが、建物のほとんどを復元してしまうと、もはや室町時代の建物というより、室町時代の柱が文化財指定されているみたいで複雑な気持ちだ。
表通りからは 100 m くらいの参道がある。
途中には火の見櫓が建っていた。屋根はなく、飾り気のない火の見だった。
(2000年10月05日訪問)