
宮古市から南はいわゆるリアス式海岸である。宮古湾のひとつ南の港湾が山田湾となる。山田町は背後に広大な山地を背負って、山田湾に面した小さな港町だ。
その山田町の中心部に龍昌寺はあった。港町の常で道路は狭く、車を駐車する場所にも困ってしまう。

入口の石門をくぐると幼稚園の庭になっていて、見事な形の赤松があった。

しばらく進むと四脚門がある。四脚門の左側には釘貫門、庫裏、九輪付きの信徒会館。
四脚門の右側には袴腰鐘楼。

鐘楼は袴腰部分がコンクリート打ちっぱなしになっているが、2階部分木造の混構造。

この堂はなんだろう?
雪や風の日の墓参で線香に火をつけやすいようにした風よけか。

本堂は入母屋造、正面千鳥破風+唐破風向拝というくどい造り。右側には立派な庫裏がある。
本堂には鍵がかかってなくて、何となくウエルカムなオーラを感じたので、戸を開けて上がらせてもらうことにした。

入ってすぐに目に付くのが、外陣の欄間にある彫刻と巨大な天狗面だ。

天狗の両側には極彩色の羽の生えた上半身女性で、下半身が鳥の彫刻。鳳凰か?
横笛を吹いている彫刻だったのかもしれない。
デジカメの色の再現性が良くなくて、あせて写っているが実物はとても鮮やかな色彩。本堂の中で太陽光があまり当たらなかったため、創建当時の極彩色がよく残っている。

右側はやはり半人半鳥で太鼓を打ち鳴らしている。

合掌する天女。こちらは下半身も人間。

こちらもちゃんと足がある。

欄間には他に空想の動物がいる。どれも楽しいものばかりだ。
これは麒麟か?

夢を食べるという「

一角獣。角は取れちゃってるが。
『三海経』に登場する怪獣「

唐獅子。

こちらも唐獅子。
たまたま立ち寄った寺の、たまたま上がらせてもらった本堂での、素敵な発見であった。
(2000年10月06日訪問)