金精様とは豊饒と子孫繁栄のシンボルとして男性の性器をかたどった石や木を祀る民俗神である。
遠野ではかつては家々で祀っていたこともあるという。また、オトコサマという名称でよく似たものが祀られていることもあったという。
金精様が祀られている祠。案内板もあるので、迷わずにたどり着ける。
右側にある怪しい入口は東北大学の地震計が設置されているトンネルの入口である。
金精様のご神体。
こうした民俗神は過去たびたび淫祠邪教として取り締まられた過去をもつ。戦前には有志によって持ち出され埋めたり隠されたりして守られたという話も聞く。いま残っている民俗神は地元の人々によって守り抜かれた貴重な文化遺産なのだ。
古くから続いてきた素朴な信仰を悪いものとして否定するという事自体が野蛮な考えとしか思えないのだが、善かれと思って始めたことが極端な全体主義となって作用することはよくあることだ。
戦前の話をしているのではない。一度「あれはイカン」となると、無思考的に一斉に全国で排除される傾向は、メディアが発達した現代のほうがよけいに起こりうることなのだ。
金精様がいつまでも表ざたに祀られることを祈るばかりである。
境内に置かれていた女陰石。
(2000年10月07日訪問)