町並みのはずれにある劇場の翁座。
大正時代に建てられた木造の劇場、兼、映画館である。
改修されたばかりのようで、外見は真新しくてマユツバな雰囲気がただよう。なんだか日光江戸村の建物のような感じ。もちろんちゃんとした歴史的建造物なのだが、古さを出すために板や柱を焦げ茶色に塗っているのがよくないのだろう。
内部は見学できる。
花道と舞台。花道というのは、役者が舞台から桟敷席のほうへ進み出て演技をする場所だ。能舞台の
一般的に花道の途中には「すっぽん」と呼ばれるせり上げの穴があるのだが、この劇場にはなかった。
舞台は回り舞台になっている。
回り舞台は人力で回転させる。その動力部は地下にあり、“奈落"と呼ばれる。残念ながら奈落は見学できなかった。
楽屋には入ることができる。
観客席は2階席があるが、2階にはあまり席数は確保されていない。
2階奥は映写室になっているため、いわゆる「天井桟敷」と呼ばれる席は存在しない。
2階にも上がれる。
階段の途中に映写室の入口がある。
2階席から吹き抜けとなった舞台を眺めたところ。吹き抜けの空間はそれ自体がエンタテイメントなのである。
芝居小屋は、スッポン、回り舞台といったカラクリと、立体的な空間演出を兼ね備えたきわめて特殊な木造建築といえるだろう。
(2001年05月04日訪問)