福山市のビジネスホテルのベッドで目を覚ます。そのホテルの部屋の雰囲気は、どことなく自分の部屋と似ていた。一瞬、自分がどこにいるのかわからない。寝ぼけた頭を必死に回転させる。「いつ部屋の模様替えをしたのだったっけ? おかげで山陽旅行の夢をみたよ‥岡山かぁ‥懐かしいなぁ‥あれはいつのことだったか‥って、え?」
旅はまだ終わってはいないのだった。それがどうしても信じられない。岡山を観光したのは本当に3日前のことなのだろうか‥‥。
このあたりから旅の記憶が混乱の度合いを増してくる。ここまでの旅で見てきたスポットで頭の中が一杯なのに加え、この日に訪れた広島県の内陸方面のとりとめもなさが混乱に拍車をかける。関東育ちの私にとって、広島の内陸方面というのはもともと想像できない地域だ。で、実際に行ってみてどうだったかというと、やはりまとまりのない印象であった。
この日は思いのほか旅程が進まず、備中高梁に宿泊する計画も失敗し、岡山市の郊外に宿泊することになってしまった。