吉川八幡宮

栩葺きの本殿。屋根の納め方は独特の様式。

(岡山県吉備中央町吉川)

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賀陽町大字吉川は、合併前には吉川村だった地域で、吉川八幡宮はその中心部に位置している。

八幡宮の前の道には何軒かの商店があって、見ようによっては門前町の風情もないわけではない。と、言ってもこのような景観だ。そこに門前町の風情を感じ取るには普通とは違う感覚器官が必要である。

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通りに面して石鳥居と水盤舎がある。そして短い石段を上がると八脚門の随身門。屋根は檜皮葺き。

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境内は広々しているが、ひと気はなく子供が遊ぶような雰囲気の神社ではない。

戦前は県社だったということなのでそれが今でも影響しているのかもしれない。

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本殿は国重文。少なくとも室町初期まではさかのぼる建物だそうである。

拝殿は縦拝殿。本殿は一見すると入母屋造に見えるし、書籍でもそのように紹介されているが、これは五間社流造の側面に庇の出た屋根なのではないか。あるいは、日吉造りという形式にも似ているが、それにしては縋破風の向きが違う。

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左は本殿屋根の拡大である。垂木はすべて正面を向いていて、隅木は屋根の四隅からすこし後方に下がったところにある。(写真下端に隅木の木口がわずかに見えている。)破風のカーブが一度そこで波打っているのがわかる。このような屋根の納め方は入母屋造ではなく、むしろ春日造りや日吉造りに近い。

なお、屋根の葺き方は“栩葺き(とちぶき)"というもので、こけら葺きよりも厚手の板で葺く葺き方だ。

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本殿の左側に渡り廊下があり社務所につながっている。

その途中には籠り堂のようなもの(赤い屋根の堂)がある。

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ほかに境内には他に末社がいくつかあった。

(2001年05月05日訪問)

図解/古建築入門: 日本建築はどう造られているか

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西 和夫 (著)

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寺院建築の架構が最も理解しやすく書かれている本だと思います。