白石工業の石灰工場。この工場の石灰乾燥小屋を見るために青倉川の谷に分け入ったのである。
工場はいまでも操業しているようだった。
ここは正面入口で一般人は入れないが、お目当ての乾燥小屋は道をもっと登った山のほうにある。
工場が操業を始めたのは大正時代ということで、ロマンを感じさせる建物も見受けられる。
従業員用の厚生施設か。
そしてこれがお目当ての石灰乾燥小屋だ。
恐ろしくディテールの細かい巨大な木造建築なのである。石垣の上に立つその姿は見る者を圧倒する。
もちろん今では近代的なプラントで操業をしていて、乾燥小屋は使われていはいない。いわば産業遺跡なのだ。
高さは約 10 m。以前に紹介した物件と異なり、地面に近い位置から鉱石を乗せたパレットがびっしりと並んでいる。
小屋はケタ行き6間が1ユニットになっていて、それがいくつも連なっている。無断で立ち入ったので奥の方まで確認しなかったが全部で15棟くらいはあろうか。全盛期には100棟あったというのだから壮観な光景だっただろう。
小屋と小屋の接合部分。2階には渡り廊下がある。鉱石のパレットは三次元的に小屋の奥行き方向に対しても続いているのだ。
小宇宙と言っていい。
入口のほうを見た様子。
断面はこんな感じだ。内部は二階建てになっていることがわかる。
これらがすべて木造で作られているなんて。
梁が折れかけているのが心配。
建物は全部で3列残っている。一部は倉庫として利用されているようだ。
あまり知られていないジャンルの物件だが、ぜひとも後世に残したい建築である。
後ろに見えている白い崖は、石灰岩だろうか。
雄大な眺めだ。
(2002年05月03日訪問)