正午30分前に池谷闘牛場へと戻る。もう会場は準備が整い、お客さんもかなり入っている。
受付には村の女子高生達がアルバイト。一般席が1,000円、屋根のある特別席が2,000円。雨が降ったりやんだりの天気だったから、特別席で見学することにした。
ワッペンと取り組み表を受け取り、観客席へ向かう。
闘牛が始まるまでの時間で、比較的おとなしい牛が観客席を一回りする。近くで牛を見たり、一緒に記念写真を撮れたりとサービスをしてくれる。
牛が鼻につけている三色の綱は「面綱」といって、大相撲の横綱のようなものだ。実際に牛が戦うときには綱ははずす。
闘牛場はこんな感じ。GW中とあって観客席はほぼ満員。月2回のペースで5~11月まで行われる。
日本国内で闘牛があるのは、新潟、八丈島、宇和島、徳之島、隠岐、沖縄の6カ所だけだ。ここ山古志の角突きは国指定重要無形民俗文化財に指定されている。
いよいよ角突きの開始。
牛引きが呼吸を合わせ、頭を合わせた2頭の牛の鼻綱を同時に抜き取る。
越後の闘牛は牛の鼻綱をはすして、牛同士に戦わせるのが特徴だ。(他地域では、勢子が牛の綱をとって戦わせるところもある。)
取り組みの様子(動画)
取り組みは強さや角の形などがだいたい同格の牛同士が戦うようになっている。
取り組みによっては相性が悪いのかまったく戦わないこともある。そんな時は勢子達が「ヨィーシター、ヨシタッ」と掛け声をかける。
山古志の闘牛は勝敗をつけない。勝負に負けた牛は負け癖がついて戦えない牛になってしまうからだ。
土俵内にはたくさんの勢子がいて、勝負がつくかつかないかという瞬間に牛に飛びかかり引き離す。ある意味ではこの勢子の命知らずの技が越後闘牛の一番の見どころかもしれない。
まず後ろ脚に綱をかけ牛を引き離し、次に頭に飛びついて鼻綱をつける。牛は鼻が急所で、鼻に綱を通されたらどんなに哮り狂っていてもおとなしくなってしまうのだ。
審判小屋の二階に次の取り組みが表示されている。
この日の取り組みは全部で33番が予定されていたが、何組かは出場できない牛がいて、取り組みが変更になっていた。牛持ちの一族に出産があれば21日、葬式があれば49日のあいだは忌み日となり出場できない決まりなのだ。
前半の取り組みを終えて時刻は午後2時。雨が降って寒くていられなくなってきたので、途中で帰ることにした。
力士だまりでは戦い終えた牛たちが休憩していた。
観客席の後方にはご祝儀の旗がたくさんかけられている。金額は一万円か二万円である。
この日は新潟県知事も観覧にきていた。
出店は3軒出ていて、けんちん汁やイカ焼きなどが売られていた。
(2002年05月04日訪問)