補陀寺

境内の六角堂は華麗で繊細な良質の江戸建築。

(宮城県気仙沼市古町2丁目)

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日がおちていよいよ3日目の旅も終わりに近づいてきた。次に向かったのは、JR気仙沼駅の裏側にある補陀寺。

この寺には六角堂があるというので気になって立ち寄ることにしたのだ。六角堂というのは何かの誤解で実はさざえ堂、なんてことがあるかもしれないので0.00001%くらいの期待を持って山門を潜る。山門は薬医門。

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門を潜って短い石段を登ると本堂がある。

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本堂の右側には、方丈(?)、庫裏。

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本堂の左側には位牌堂。

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そしてこれが問題の六角堂だ。

近くによってよく見ると、内部に螺旋状の構造が‥‥‥なーんてことはなかった。まごう方なきただの六角堂である。

意匠は唐様と和様の折衷様式。正面三間には桟唐戸(さんからど)になっている。桟唐戸とは写真のようにまばらに横のサンが入った板戸のこと。唐戸といっても唐様に限らず和様建築でも使われることが多い。

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周囲には高欄付きの廻り縁がある。この廻り縁は、下部に縁束(えんづか)(縁と地面のあいだにある短い柱)がなく、楼門や塔の縁のように肘木の片持ち構造になっているのが珍しい。

さざえ堂ではなかったが、繊細で華麗な堂であった。建立は1762年(江戸中期)で県指定文化財に指定されている。

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唐戸の正面に丸い小さな穴が空いていたのでそこからカメラを入れて内部を撮影した。

天井は鏡天井(天井板を押さえる竿縁がなく真っ平らな板の天井)になっていて龍が描かれている。

(2001年08月13日訪問)

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