宝鏡寺

茅葺きの大きな楼門がある。参道の大松もいい感じ。

(宮城県気仙沼市川原崎)

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今日、最後の訪問地である宝鏡寺。

実はこの寺は次の日の予定だったのだが、まだ微妙に時間がありそうだったので行ってみることにした。

場所は郊外の気仙沼を外周するバイパスの近く。おもて通りには大きな黒松が道路に覆いかぶさるように伸びている。今はバイパスで分断されたどこにも行けない道だが、かつては人の往来があった雰囲気が残っている。

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参道の入口には非常に小さな十王堂がある。

間口90cm、奥行60cmくらいしかない。「堂」と呼べる建物としては最小のモノではないか。よく観光地なんかにある“動くおみくじ販売機"くらいの大きさしかないのである。(おみくじ販売機も“よくある"ってほどはないか‥‥)

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十王堂の内部。

業の秤などの装置類はなかった。

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総門は薬医門。

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総門を入って進むと白木の楼門がある。楼門としてはかなり大きいほうだ。

意匠は純和様。

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屋根はいまどき珍しい茅葺き。

軒の出が深く、少し頭でっかちな印象だが、地方の寺らしくていいではないか。

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楼門の二階に登ることができる。写真は欄干からみた軒先の様子。

組み物(斗栱(ときょう))が手に取るように近くで観察できる。せっかくだからこの写真を使って、和様斗きょうの詳細な説明を作ってみた。→和様の組み物

ただし、組み物は屋根の重みをうまく支えられずに、左側が下がってしまっているのが残念。こういう下がった組み物はたまに見かける。伝統的な建築がすべて構造的にすぐれているというわけでもないのだ。

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楼門の二階の内部は物置きになっているが、十六羅漢が祀られていた。

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本堂。

寺の息子さんがこれから“走り"に出かけるのか、愛車を友達と見せあって歓談していた。

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本堂の内部に上がらせてもらう。

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天井は格天井(ごうてんじょう)(=碁盤の目のように正方形の桟で留めた天井)で、花鳥画が描かれていた。

ストロボをたいたため色が汚くなってしまったが、綺麗な花鳥画だった。

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本堂の右手前には庫裏(左写真)。

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本堂の左側には池があり、書院(?)がある。

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境内には他に、袴腰鐘楼がある。

楼門、袴腰鐘楼など、いかにも地方の中規模寺院という感じの構成で、こういう寺を巡っているときがいちばん心が和む。

時間はもう6時半近くになっていた。

この夜はJR南気仙沼駅前のビジネス旅館に泊まることにした。南気仙沼は旧市街からは少し離れた魚市場や海産物工場などのある新興の地域だが、前回に来たときに駅前に魚がすごく安くて美味しい店を発見したので、その近くに泊まることにしたのだ。

チェックインを済ませたらいったん旧市街のほうへ車で出かけて、立ち読み(地元の出版物探し)や港の散策をして、古い銭湯の熱~いお風呂で疲れを落とす。

そして宿へ戻ってから歩いて居酒屋へ。お腹が苦しくなるほど地場の魚介を食べまくる、幸せな夜であった。

(2001年08月13日訪問)