国分寺史跡公園の西側にある現在の国分寺。本坊ということにしおく。
専門学校を経営しているようだ。
山門はRC造の三間一戸四脚門。柱はコンクリート打ちっ放しで本瓦葺き。東京の山の手の寺にありそうな山門だ。
本堂もRC造。仏教建築が鉄筋コンクリートという素材に取り組み、モダニズムを受け入れようとした昭和時代の遺跡といえるだろう。(結局その取り組みは完全に開花することなく収束して、21世紀の今日では江戸末期の建築からけれん味を取り除いたような褒めようもけなしようもない仏教建築が建てられるようになったのである。)
境内にはほかにRC造の多宝塔と墓地がある。
多宝塔は昭和58建立とのこと。RC造だが外見は美しい。本当に多宝塔のなんたるかを理解した設計事務所が図面を起こしたのだろう。
組み物、垂木の細やかさ、屋根の軽快な反り具合など、木造建築とくらべてまったく遜色がない。昭和の末期にはRC造でもこれだけ繊細な建築を建てることができるようになったのである。
だが一方で古建築に対する研究が進んだために、建築意匠に対する評価が固定されてしまい、感動のない建物も増えてきているなどと考えるのはぜいたくな悩みなのだろうか。
(2001年09月23日訪問)