2002年5月に徳島に転居して、もうすぐ1年がたとうとしている。昨年の10月ごろから吉野川南岸の社寺を西から順に巡ってきた。山川町を出発点に、美郷、川島、鴨島と巡り、やっと石井町のあたりまで来ていた。
石井町の下浦というところに、目立つY字路がある。国道192号と、旧道の県道240号が分かれる場所だ。旧道はここから約10km国道に交わることなく並走する。古い街道で遍路道でもある。私が徳島に住んでいるあいだ、幾度となく通ることになる思い出ぶかい裏道だ。
県道への分岐点には農協の建物がいくつか並んでいるのだが、その一角に小さな辻堂があるのに気付いた。
少し傾いているが、小さな本瓦葺きの味のある辻堂だ。
お堂は
切妻平入りで、妻の部分に電球のソケットがある。電灯がともっていたこともあるのだろう。
旧道の分かれ道に電灯のついたお堂があるなんて、最高の風情だよね。
お堂の内部は庚申塔や弘法大師ではなく、供養塔だった。寛文十二年って書いてあるように見える。江戸時代初期の板碑だ。
この旧道を少し入ると釈迦堂という小さなお堂がある。
きょう最初に訪れたのがこの釈迦堂なのだが、釈迦堂については第13話で取り上げるので、ここでは飛ばして次へ行こう。
(2003年04月05日訪問)