宝蓮寺の車道をはさんで北側の境内。
大日堂を中心とした伽藍であるが、堂宇の配置や立地に強烈に密教の匂いが感じられる。
それは本尊が大日如来だという条件を置いておいたとしても、なお感じられるのだ。
言葉にはしにくいのだが、関東の天台宗の寺のなかでも古い寺の伽藍に共通する、独特の雰囲気がある。
山門は八脚門の仁王門。
山門の手前には左右に大きな銀杏の樹がある。
仁王様は比較的素朴な部類。天衣の表現などまるで大きな馬蹄を背負っているようだ。
吽形の指の表現にもまったく肉感がなく、ロボットみたいだ。
もっとも、仁王像はそういうところが面白いところで、ギリシャ彫刻みたいに写実的肉体をもつ仁王よりも、こういう漫画チックな仁王のほうに愛着を感じてしまう。
大日堂。宝形の建物で、痛んでいるが、それほど古そうではない。江戸末期といったところか。
大日堂の左裏手には金剛水という湧き水がある。案内板によれば、大山詣の人々がのどを潤したという。
また村の雨ごいにも使われるという。雨が欲しいときに天道念仏を唱えながら、泉の水をかいだすと雨になるという。
大日堂の右側には石段があり、その上には御岳神社がある。
御嶽神社の拝殿。
御嶽神社の神楽殿。
御嶽神社から石段をおりて大日堂まで戻り、別の石段を上がると不動堂がある。
内部には護摩壇があり、奥に不動明王が見えた。
不動堂のさらに裏手に行くと閻魔堂がある。
閻魔堂の前の小経が大山への登山道である。他の堂が南面していにもかかわらず、この閻魔堂は東面で登山道に面している。
内部には電気がついていて、閻魔大王がほんのりとライトアップされていた。閻魔大王の背後には地蔵菩薩がいる。
かなり良い雰囲気なのだが、堂の中には入ることはできず、扉の地蔵格子のわずかなすきまからガラスのホコリを払ってのぞき込むとやっと見えるという状態。そもそもこんな山奥の堂でライトアップされているとは思いもしないので、気付かずに通り過ぎてしまう人が多いのではないか。
宝蓮寺に参詣したときは、見逃さずにチェックしたいポイントである。
(2001年06月03日訪問)