光明寺

薬師堂の中には絵馬の展示室がある。境内の信仰装置が楽しい。

(愛知県南知多町豊浜鳥居)

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光明寺。またの名を「とら薬師」。

豊浜の町の中心になる寺である。広い駐車場もあるし、観光でも立ち寄ってもいいだろう。

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山門は、ちょっと形容しがたい形式の門である。重層の四脚門とでも言えばいいのか、一間一戸二重門とでも言えばいいのか‥‥。本サイトではいまのところ似たような門は見つかっていない。

小振りな建築なのに本瓦葺きになっているので、異様さが際立っている。もしかしたら元々鐘堂だったものを改造したのかも知れない。

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本堂は寄棟造りで桟瓦葺き。

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本堂の左側には薬師堂がある。桟瓦寄棟造、裳階つき。

寄棟造は入母屋造よりも原初的な屋根の構造である。だからなのだろうか、境内の主要な堂が寄棟で統一されていると、古風な寺という雰囲気になる。

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本堂の右側には庫裏。樹が邪魔。

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境内にはいろいろと小さな信仰装置が点在しているので順番に見ていこう。

本堂と薬師堂の間には地蔵堂(写真)と阿伽井屋があった。

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フグの供養碑。

港町ならではの供養碑だ。

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魚籃観音。

ひしゃくで水をかけられるようになっている。

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象の形をした香炉。

体内に線香をセットすると象の鼻から煙がでるというもの。

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烏枢沙摩明王象。

これもひしゃくで水をかけられるようになっている。仏像の足下にみえる緑色の物体はタワシである。体を洗うことができるのだろう。

烏枢沙摩明王は東司に主に祀られる神様で、このように屋外に祀られるのはめずらしい。

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ごめんなさい地蔵。ハエやゴキブリを殺したとき、小さな嘘をついたときなどに懺悔をするための地蔵だという。ステンレスの管の中に祭られている。足下には小さな鐘と撞木があって鳴らすことができる。

このようにディスプレイ方法にひとつひとつ変化が持たせてるのは小さな工夫だが効果的だと思う。ただ石仏を並べるだけなら素通りしてしまうが、水掛け、タワシ、香炉などを操作することで、具体的な祈りのアクションが生じるからである。

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水盤舎の吐水口はタコの形になっていた。

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タコは薬師堂の内部にも飾られていた。

タコの絵馬である。云われは書いてあったかも知れないが失念。

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このタコはデザイン的にユニークで、強く記憶に残った。

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薬師堂の内部。中央には薬師如来。左右は日光、月光菩薩か。

内陣の柱や欄間などを見ると、実はかなり古いものなのではないかという気がする。江戸初期か桃山くらいまで遡りそうな感じだ。

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外陣には十二神将像が並んでいた。十二神将は薬師如来の家来である。

十二神将の一人一人には十二支が割り当てられる。この寺がの薬師如来が「寅(とら)薬師」と言われるのは、十二神将の性質が本尊のほうにも及んだからなのかも知れない。あたかも稲荷の眷族がキツネなのに、いつのまにか稲荷=キツネのようなイメージが定着してしまったように。

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十二神将の一人一人の姿と名前の対応は私にはよくわからない。細かくは決まっていないのかも知れないし、詳しく調べればわかるものなのかも知れないのだが。

表情は肉感的。最近修理されたようで、彩色が美しかった。

(2001年11月25日訪問)

日本のお寺・神社 絶壁建築めぐり

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飯沼義弥 (著), 渋谷申博 (監修)
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