旅の3日目。知多半島の南端を目指す。知多半島の南端には貝がら公園というB級スポットがあり、以前から行ってみたかった場所なのである。それ以外では前の晩に宿で地図を見ながらいくつかの寺をピックアップしたものの、その数は多くない。昨日に引き続いて適当に目に付いたものを見ながらの旅となった。
さて、半島めぐりというといつも同じような印象がつきまとう。「半島」とはよく言ったもので、地形的にはまさに「島」に近い。道といえば外周に沿った道くらいしかなく、走行ルートも限られてしまう。道に迷う可能性はあまりないから安心して走れるが、逆に言えば決まり切ったルートから外れることができない窮屈さがある。もちろん、半島の外周道路には雄大な景色の場所が多いから窮屈と感じるのは変なのだが、平野部で育った私にとっては、東西南北どちらにでも気の向くままに移動できない半島の地形はやはり窮屈であり、自分が住むには合わない場所なのだろうと感じるのだ。
とはいえ、知多半島の外周の景観は思った以上に感動的なものだった。知多半島は伊勢湾の内海にあるので、地図では周りを陸地に囲まれているように見えるが、実際には海の景色は広々として、とてもここが内海であるとは感じさせない。だから3日目の行程は、寺巡りというより海辺のドライブという印象である。iPod からはお気に入りの古い曲が流れ、しばし現実を忘れて昔のひとのことなどを考えながらハンドルを握るのは、仕事に追われていた私にとってなにより贅沢な時間なのだ。