南江木の稚蚕共同飼育所の西側は共同墓地になっている。墓石の鑑賞についてはほとんど知識がなく、これから勉強したいジャンルだと思っている。
たとえば写真に写っている小さな石仏のようなもの。一般的な感覚では「石仏が並んでいるなぁ」という意識で見てしまうが、これらは墓石である。刻像塔は墓石の年代鑑定では古い形態と言われるが、地域によっては明治時代ごろに作られた墓石の場合もあり、一概には言えない。古建築において、舟肘木の堂がすべて平安時代の建物でないのと同じことなのだろう。
墓地の中には宝塔もあった。
前橋市の市指定文化財に指定されている。赤城南面に多い「赤城塔」と呼ばれるタイプの塔だ。
九輪の部分は後補か? 文化財の看板が立っていたが、目を通すのを忘れた。
さて、この墓地で看過できないのは、写真の車庫である。
「共同墓地に車庫」とくれば、期待されるのは霊柩車だ。
中を見てみると案の定、霊柩車が残っていた。
座棺タイプのものであろう。座棺とは、現在一般的な寝棺とは異なり、死者を体育館座りさせて納める棺である。
車に桶を載せ、その上に天蓋をかぶせたのではないだろうか。質素な造りだ。実際には花や色紙などで飾り立てたのかもしれない。
右奥には花かごも残っている。これらの機材を使った華やかな野辺の送りが行われることはもうないのだろう。
2023年現在、車庫は撤去され地域のゴミ集積場になっている。
(2007年02月13日訪問)