大藪稚蚕共同飼育所。
地図でこの場所をチェックしたときから、少し憂鬱な気持ちになっていた。2002年に榛名山麓の寺巡りをしたときに、この飼育所のすぐ隣にある寺を訪れていたからだ。わずか6年で同じ場所を訪問することになるとは…。
観光地ならまだしも、すきま物件を見るための動きとしては効率が悪すぎる。
並列型の飼育所で、見た目はわかりにくいといえばわかりにくいのだが。いま見れば見落としようのない建築なのだ。
横からみると飼育室の高窓が3つで、全長の半分くらいしかない。左側がすべて宿直室や挫桑場にするにしては広すぎる感じがする。
反対側に回り込んでみると、いくつもの扉が並んでいる。
青い扉はもしかしたら地下室へ降りる斜路へをふさいだものかもしれない。
窓ガラスから中を覗いてみたが、宿直室側の構成ははっきりとはわからない。
倉庫のように使われているようだが、大きな改造はなく、比較的よく原形を留めている。
飼育室は並列型のブロック電床育方式だ。蚕箔3列×10段=30枚が入る室が左右に3室、並列だから全体で12室で360枚の蚕箔が置ける。
フル稼働した場合、2齢のピーク時には給桑作業に20人以上が必要そうだ。休憩所などあったのかも知れず、だとすると、宿直室側の面積が広いのも妥当かもしれない。
消毒槽は少し離れたところにあり、上にコンクリの廃材などが積まれていた。
配蚕口は北側にあった。
この道に農家の軽トラが並んで、次々にカイコを持ち帰ったのだろうか。
(2008年05月01日訪問)