2008年のGW。前回の飼育所巡りからはや1年が過ぎていた。時間が経つのがなんと早いことか。
この1年間はあまり遠出もせず、ひたすら地元の徳島県を見て回っていた。その地元観光が高じて、タウン誌から声がかかり、コラム「阿波國すきま漫遊記」の連載を始めることにもなった。
これまで、マイナーながらも寺や神社というわかりやすいチェックポイントを旅してきたが、群馬県で稚蚕飼育所という見えにくい存在を巡るようになってからは、さらに違ったものが見えるようになった。そうなると地元でおもしろいものが次々に見つかって遠出をしている時間がなくなってしまったのだ。
稚蚕飼育所巡りは私の旅のパターンを大きく変えてしまうきっかけだったと言えるだろう。
GWの前半、私は群馬県立図書館にこもって、ひたすら古い住宅地図をチェックしていた。地図上の1軒1軒の建物を目で追いながら「飼育所」という文字を探し、持参した1/25,000 地形図に場所をプロットしていく。最終的におよそ群馬県の住宅の1/3くらいを目視で調べたのではないかと思う。コンピュータで検索すればたいがいの文字が見つけられる世の中でなんともベタな作業なのだが、その先には、ネットをいくら巡回しても得られないリアルな発見が待っているはずなのだ。
結局、3日間図書館にこもって、これから当面の訪問先をすべて地図に書き写したのだった。