山子田稚蚕共同飼育所。
遠くからよく見えるのだが、本当にこれがそうなのか、よくわからない。外見だけからいえば、工場のようにしか見えない建物だ。
今はもう稚蚕飼育には使われていない。配蚕口の車寄せだったと思われる部分は取り壊されていたりする。
近くを歩いていた人に聞いたら、ここは100%国の助成金で建てられた最新鋭の稚蚕飼育所だったという。飼育装置は「ロータリー式」と呼ばれていたとのこと。(螺旋循環式のことであろうか。)地下の貯桑場からエレベータで桑をリフトアップできたという。
ものすごく新しく見えるが、貯桑場を持っていたということは、人工飼料ではなかったのだろう。その点では、2010年現在、群馬県で稼働中の飼育所とはまた違った手法の飼育をしていたことになる。
中を覗くことができたが、これといって気付いた点もない。奥に見えるパレットが稚蚕飼育に使ったものかどうかは不明。配蚕のためのケースを運んだのかもしれない。
内部はがらんどしている。
なんと味気ない空間だろうか。それとも、ここから何かの美を見いだせない私の眼力が足らないのか。
モダニズムという建築ムーブメントは、見るに耐える建築もそれなりに生み出したと思うが、曲解して運用すれば際限なく精神性の低い建物を生み出すこともできるという諸刃の剣だ。
100年後にこうした建物を見た人は「この魂のない感じが劣化モダニズム様式の倉庫の特徴だよね」などと感心するのであろうか。
東側には貯桑場の入口があった。
立派だけれど、バックで降りるのが面倒そうな造り。
(2008年05月01日訪問)