榛名山を構成する峯のひとつに二ツ岳という山がある。この山ができたのは、6世紀の2回の噴火によるもので、地質学的な年代でみたらつい昨日のようなできごとであろう。
その二ツ岳の山麓に鷲ノ巣風穴という風穴がある。
場所は、榛名山に登る最もポピュラーなルートである県道33号線から、伊香保のスケートリンクへ向かう車道の途中になる。
これまで見てきた蚕種保存用の風穴は、どこも不便な場所だったが、ここ鷲ノ巣風穴は二車線道路から歩いてすぐの場所にあるため、容易に見学できるのがうれしい。
とはいえ、この日はすでにガラメキ温泉跡などを見たあとだったので、同行メンバーが疲れを訴えており、この風穴と一緒に見ておくべきケーブルカー廃線跡探査をスキップ。これ、またいつか行くときがくるだろうか。
最初に見た遺構は、横穴式の風穴。内部は寒いくらいにひんやりとしている。
古墳の石室ほどの大きさと深さであり、何を保存するにもこれでは小さ過ぎると思う。試掘的なものなのだろうか。文化財の看板によれば、古くは亜硫酸ガスを噴き出していた穴だったのが、いつのころからか普通の風穴に変わったということだ。二ツ岳は新しい火山なので、人間が記録を残せる時間のスパンの中で風穴が誕生したのかと思うと感慨深い。
そこから少し歩くと、室(むろ)の跡へ着く。
立て札には「風穴利用貯蔵庫跡」とあり、蚕種を保存したとは書かれていない。
だが、おそらく蚕種を保存したものだと思う。他に考えられるとすれば、近くにある伊香保温泉で使う氷を保存する室だったか?
室の保存状況はよい。
友人が写真を撮っているところ。大きさがだいたいわかるだろう。
この上に、屋根が載っていたのではないか。
近くには倒壊した建物の残骸が残っていた。
事務所などの跡だろうか。
これでこの日の行程はおしまい。
二ツ岳の山麓に伊香保温泉があり、入浴したいところだったが、メンバーが疲れ過ぎていて、風呂に入る元気もない状態。
女性、子供込みでの行程ではちょっときつかったのかもしれない。
(2011年05月05日訪問)