山際の辻堂

簡単そうに見えて、実は説明がむずかしいお堂。

(群馬県下仁田町下小坂)

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下仁田町周辺の稚蚕飼育所を探しているときに見かけたお堂。

大きなヤナギの樹が目印の墓地の中に建っていた。

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はじめ、霊柩車の車庫かとも思ったが、横幅の狭い扉を見る限り、倉庫や車庫ではなくて仏堂のようでもある。

山際という字にあるので「山際の辻堂」と命名しておくが、そもそもこれを辻堂と呼ぶのが適当なのかどうか。

関西には墓地に引導場(いんどうば)という堂があるが、それとも違う。このような葬送に関連した小堂に何か一般的な呼びかたが必要な気がする。「野辺堂」あたりが候補かと思うがどうだろう。

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内部は暗くてよく見えなかった。野道具の収蔵庫のような感じだ。

野道具(のどうぐ)」とは、野辺の送りのときに持つ幟や龍頭などのことを言う。左側の2本の棒と、90cm四方くらいの台座は、座棺を載せて運ぶ輿ではないかと思う。右側のボートのオールのようなものも野道具ではないかと思うが、浅学のため何に使うものかわからない。

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こうした辻堂の中に納められている仏像は、地蔵尊や弘法大師が多いが、写真を増感してみると明らかに違う像だ。馬頭観音か十一面観音のように見える。

それにしても、こんな小さなお堂にこれほどの謎があるとは、まだまだ勉強しなければならないことがたくさんあるのだと思い知らされる。

(2008年06月28日訪問)

民俗小事典死と葬送

単行本 – 2005/12/1
新谷 尚紀 (編集), 関沢 まゆみ (編集)

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