下仁田の町の中を散策してみた。
下仁田は、姫街道の宿場町から発展した町で、街道を行き交う商品を扱う商業の町という位置づけで考えてよいと思う。近くには鉱山もあったから、鉱山の男たちが遊びに来るような町だったはずだ。
町並み散策というと、通常は格子戸の町屋や、ウダツのある旅籠といった古民家をなめるように撮影して、宿場町の風情を写し出そうとするものだが、ここはあえて歓楽街の風情を追い求めてみようと思う。
そういう観点で、特に「いい感じ」なのは、下仁田駅の西側の一角ではないかと思う。
閉店したスナックや割烹などが、狭い裏路地に点々とある。
全盛期にはきっとオトナたちの楽しい遊び場だったに違いない。
個人的にはかなりしびれる町並みだと思うのだが、「小京都」みたいな共通言語が確立されていないので、雰囲気が伝わるかどうか…。
「なべや」という看板を揚げたお店があった。町内にはすき焼きのお店が目立つ。すき焼き屋が流行した時代でもあったのか。
古い歓楽街となると、気になるのは、妓楼、ストリップ劇場、芝居小屋、映画館、銭湯といった施設だ。
映画館は2箇所あったそうで、ひとつが「キネマ」で、駅前のいまは駐車場になっているあたり。(左写真)
もうひとつの映画館「東宝」の跡。以前は二階桟敷のある芝居小屋で、畳敷きの升席だったそうだ。映画が主流になってからは椅子席に改装されたという。
当サイトで映画館跡を紹介するのは今回が初めてだが、機会があれば、古い映画館は積極的に紹介していこと思う。いま、映画館といえばほとんどがシネコンになりつつあり、単館の映画館は見かけたらすぐに写真を撮っておかなければならないような状態にあるのではないか。
(2008年06月28日訪問)