霜降大明神のあった共富公会堂を立ち去ろうとしたとき、すぐ隣の畑の中に飼育所を発見。
歩いて飼育所へ向かうことにした。
飼育所は大型で、赤城南面でよく見た2連型のブロック電床育飼育所。
窓の数からして、4室×4列の16室の飼育所だったろう。
西側が配蚕口で、すぐ横に大きな桑の木がある。葉の切れ込みがない「ログワ」系の品種だ。
内部はくり貫かれて、農家の倉庫に改造されていた。
これまで、2連型の場合は大きなスパンを支えるため、中央の室に屋根の荷重が載っているのかと想像していたが、この例を見ると木造トラスだけで大スパンの空間を作り出せていることがわかる。
挫桑室はいまでも作業場として奇麗に使われていて、床が抜けるような心配はなさそうだ。
入口には「給桑済み」と書かれた札がひとつだけ残っていた。給桑とは、棚に差してある蚕の飼育用のトレー(蚕箔)を取り出して桑の葉を与え、また棚に戻す作業をいう。蚕箔は通常は10段あり、給桑のときに上の段から取り出した蚕箔は下の段に戻すというようなローテーションも行なう。そうしないと上の段のほうが温度が高く成長が進んでしまうからだ。
16室あった飼育室のどこまで終わったかを管理していたのだろうか。室と別の場所にこういう札を付けてもあまり便利とは思えないがどうだったのだろう。
建物の東側はスロープになっていて地下の貯桑場の入口まで続いている。軽トラが入れたようには見えないので、せいぜい一輪車か、人間が運び入れるときの便宜のためだろう。
木造の飼育所としては、このスロープはかなり立派なほうだと思う。
消毒槽が残っていた。
(2008年06月28日訪問)