今回、姫街道から和美峠を越えるにあたって、姫街道の深部の字をしらみつぶしに確認するという目標を立てていた。
ここを訪れた2011年ごろ、私は南牧村のすべての字を見てまわっていた。南牧村も姫街道も下仁田町の上流部にあたるが、秩父帯という古い地質の南牧村と、新しい火山性の地質の姫街道沿線で、村の風景や暮らしぶりがどう違うのかを見極めようと思ったからだ。私はかねてから中央構造線に沿った外帯側の古い地質の場所に、厳しくも美しい急傾斜の集落があることに着目しており、その対照として周辺の村の様子を見ておきたかったのだ。
瀬成集落。
滑岩、清水沢といった狭い谷沿いの集落を抜けると、少し谷が開け、瀬成集落がある。
家と家が離れていて、空も広い。
段丘の上の開けた場所にある集落。小さな盆地のような場所で、畑も広く、家々は平坦な場所に並んでいる。
小平集落。
初鳥屋からさらにひとつ上流にある集落。十数くらいの家々が斜面に密集してある。
背後には円錐状の山が連なる。山の斜面は、ところどころ植林されているが、ほとんどは自然林のようだ。
菅倉集落。
小平集落とは隣りあっている。やはり斜面にあり、家々は密集している。
高立集落。
姫街道最深部の字。この字の先には、矢川峠という峠があるが、自動車で入れるのはここまで。それでも棚田があり、春にはこのように花咲き乱れる美しい字だった。
もっとも、数軒の人家しかなく、ここまで車で入ると住人が「何だ、何だ?」という感じで出てくるので、あらかじめ「道まちがえました~」などの言い訳など考えておいたほうがいい。
姫街道深部の集落は、どこも比較的空が広く、おだやかな村だった。ここは行政区分上は下仁田町になるわけだが、風景や雰囲気も下仁田町の他の地区とも共通しているように感じた。
いずれ、南牧村や上野村を紹介していくことになるだろう。そのとき、もう一度この村の風景と見比べてみたい。
(2011年05月08日訪問)