パアン市の中心街は、Asian Highway 1号線に沿って発達している。
東から市街地に入るあたりは、片側2車線+路駐ゾーンがあり道幅も広い。まさにハイウェイと呼べる道だ。
道に沿っていろいろなお店が並んでいるので、それを見物しながら歩いてみた。しばらく歩くと、陸軍のキャンプがあり、その近くにヒンドゥ寺院があった。
道に面したところに青い塔門がそびえ立っているので、いやがうえにも目立つ。
寺の名前はわからずじまいだった。地元の人に聞いても「あれは Hindu Temple ダヨ」と言われるばかり。カレン州のちょっとした町にはだいたい1ヶ所はヒンドゥ寺院があるのを見かけるが、仏教寺院に比べるとあまり数は多くないので、「ヒンドゥ寺」で通用してしまうのかもしれない。
「塔門」とはこのような多層になった門のことで、インドのヒンドゥ寺院に見られるものだ。「ゴプラ」とも言うらしい。
青い壁を基調に、黄色の神像がたくさん並んでいる。
この門の高さは、三階建てくらい。
メインの入口は鉄の柵が閉まっていた。
柵にポスターが貼られているのを見るかぎり、1月20日と1月28日に祭りがあるのだろう。
横の通用門っぽいところが半開きになっていたので、境内に入ってみることにした。怒られたりしないだろうと信じて。
ヒンドゥ教の寺院に入るのは、人生でこれが初めてだ。
外から見えた塔門のようなものは、その後ろの建物と接合していた。これが変則的な造りなのか、ありがちな造りなのかはいまのところ私には判断できない。
ヒンドゥ寺院の伽藍配置は、おおざっぱに言えば、日本の神道における「本殿・拝殿」に近い構成で、「聖室(ガルバグリハ)・拝堂(マンダパ)」からなる。聖室の上には塔が立つ。
また塔の形で様式を判断できるという。この寺の場合は、長方形のピラミッド状なので、インド南部に多いドラーヴィダ様式だと思う。
柱にも極彩色の彫刻がある。
ヒンドゥ教、けっこう自分の感覚に合っている気がする。
建物の入口は鉄格子が閉まっていて入れなかった。
外から見ると、四本柱が見える。この建物はたぶん、拝堂に相当するもので、奥に聖室があるのだろう。
境内の南の角に、小さな石製の神像が並んでいる場所があった。
ミャンマーの仏教寺院にある八曜日の守り本尊を思わせるものだ。
その前にはバケツが置かれ、油っぽい液体が入っていた。
神像の黒ずみかたからして、この油で神像を清めるのではないだろうか。
境内の北角にあった色鮮やかな祠。
手前が吹き放ちになっていて、牛が祀られている。奥は堂になっていて、神様がいた。
吹き放ち部分にあったユーモラスな牛。
油で黒光りしている。
神様の乗物ではないかと思う。
奥の堂内にいた神様。
誰なのかは不明だが、やはり油で黒光りしており、目、鼻、口が金色に光っているのが禍々しい感じだ。
内部は広いので、信徒がかなり入れそう。
奥に寸胴鍋が見えるので、たぶん食堂という判断でいいのだろう。
境内の外にもほこらがあった。
ほこらの後ろには、ガジュマルのような感じの樹。ミャンマーではこうした樹に精霊の祠が取り付けられているのを見かける。
祠の屋根の上には牛が並んでいる。
ということは、精霊関係ではなく、ヒンドゥ教関係ということなのだろう。
いつかちゃんとヒンドゥ教の伽藍の見方や参詣の仕方などを覚えたいものだ。
このヒンドゥ寺院から先、パアンの中心地まではまだかなり距離があるので、徒歩はここまで。
サイッカーを呼び止めて、中心地まで移動することにする。
(2014年01月26日訪問)