途中、立寄ろうとしていたノアラボーパゴダが雨季はクローズだったため、そのまま今日の本来の目的地、ジンチャイッ(ဇင်းကျိုက်) 滝へ向かった。
国道8号線の入口には看板があるだけで、ゲートなどはないため、ちょっとわかりにくい。
しばらく進むと、山肌に白い水しぶきが見え隠れしてくる。
大きな滝のようだ。
駐車場もかなり広い。
たくさんのオートバイが止まっていた。
オートバイは、このあたりのミャンマー人の月給の8~12ヶ月分で買える。若い子たちも、けっこうオートバイを持っている。
駐車場のまわりには、海の家っぽいカフェが建ち並んでいた。
着替えを持って、滝へと向かう。
滝に行くというので、実はGパンの下に海パンを着てきたのだ。なぜなら、カレン州で「滝に行く」と言えばそれは「滝に行って、滝つぼで泳ぐ」という意味だからだ。
そのへんのことは学習しているので、準備はぬかりない。
滝への登り口にはサラクという果物を売る露店があった。一般的な名前はスネークフルーツか。
この地域では人家の庭などに植えられている果物で、樹の見た目はナツメヤシみたいな感じだった。
実は外皮がクリくらいの硬さで、鳥肌が立ったようになっている。指に刺さるほどではないが、力を入れて握れない程度には痛い。
中は大きな種の周りに薄い果肉があって、味は甘みと酸味を強化したビワのよう。
見た目は悪いがかなり美味。
滝への入口は寺の山門のようになっている。
いや、これは寺そのものなのかも知れない。
途中には愉快なオブジェが点々とある。
これは何なのだろう。
カブトガニ? それともエイか?
塗りの細かいワニ。
滝への道のりは一直線の階段でかなりの段数がある。
途中で息切れした人が休めるような休憩所があった。
第二休憩所にはジュース売り場がある。
やっと寺のような場所へ着いた。
駐車場からの標高差は、疲れ具合からして150mはあったろうか。
どうやら滝の上に来たようだ。
大きな岩船があり、金色のパゴダが載っている。
岩船の周りは滝つぼになっていて、みんな服を着たまま滝つぼで泳いでいる。
ミャンマーでは水着で泳ぐということはなく、服を着たまま泳ぐのが一般的。
私は一応Gパンを脱いで、海パンとTシャツで泳ぐことにした。
水温はあまり冷たくなく、汗をかいたあとなのですぐに水の中に入れた。
山全体が巨大な一枚岩でできているのだ。
滝つぼからあふれ出た水が岩肌をなめるように下っていく。
その石のわずかな割れ目に樹が生えているのはすごい。
まったく土がなく、滝の水に洗われる場所でよく成長したものだ。
下のほうにも甌穴のような天然のプールが見える。あの甌穴でも泳げるようだ。
そこから先は崖のように落ち込んでいる。
甌穴まで降りてみた。
斜面はそれほど急ではないのだが、水で濡れている場所が滑るのでかなり怖かった。
甌穴はまるで展望露天風呂の雰囲気だ。ただし、柵が一部ないのが恐ろしい。見ているだけでお尻の穴がむずむずしてくる。
参道の方面がよく見える。遠くに見える水面は、水田地帯が雨季の増水で水没して一面の沼のようになっているのだ。
今度は、岩船の上のほうに上ってみる。
なかなか荘厳な眺めだ。
パゴダがまるで荒海を進む舟のように見えてくる。
『地球の歩き方』には紹介されていないが、実はモン州でかなりお勧めな観光地なのではないか。
特に滝の水量が最大になる雨季にこそ訪れたい場所だ。
そこから上へも小さな滝が連続している。
この滝つぼにも飛び込んで遊ぶ職場の面々。女の子でさえこんな場所に飛び込むのだ。
私もここで泳いでみた。
水が渦を巻いていて必死に泳がないと流される。半分より奥へ流されたら、たぶん、死ぬ。
でも時にはこうして、死の一歩手前で踏みとどまっていることを感じるのはいい体験だと思う。
泳ぎ疲れて、岩の上でごろごろする職場の面々。
濡れた石の上はけっこう滑る。日本だったら、この風景さえあり得ないくらいデンジャラスだろう。
休憩していると近所の子どもが練り物の揚げ物を売りに来た。
スタッフが購入。
でも私は食べるのはやめておいた。
子どもが売るに来る食品って衛生的にちょっと怖い。
ひとしきり泳いだら、髪も服も濡れたまま下山。
服のまま濡れそぼった美少女が見たかったら、ミャンマーの海や滝に行こう。
今度は滝の一番下へ降りてみた。
この滝が「なめ滝」だということがわかる。一番下の滝つぼには落石がごろごろしていて、滝の規模のわりに滝つぼは大きくない。
でも山登りをせずに泳げるとあって、人はいっぱい。
てんぷら売りも何人かきている。
よく見ると斜面の上のほうを裸足でよじ登っている白いシャツの男が見える。友達と二人で度胸試しに登り始めたが、途中で降りられなくなってそのまま最上部を目指しているようだ。命知らずだなあ・・・。
滝の下には、鴨川の
私もその一軒でバナナ味のファンタを注文して、ついでに髪を拭いたり、海パンを着替えたりしたのだった。
この日の午後は運良く晴れ間にも恵まれて、水浴びにはちょうどよい日だった。
(2014年06月28日訪問)