
この日はずっとじとじとした天候だったのに、突然、晴れ間がのぞいた。
天が「いまこそパアプゥ山に登れ」と言っているようだ。足取りも軽く、サルウィン川西岸の細道を北上する。

といっても、パアプゥ山の登山口がどこにあるのかは知らないので、脇道がないか注意深く進んでいくしかない。
なにせ、ジェーダパゴダのように登り口がまったく目立たないという可能性もあるからだ。

道ばたに小さなお堂のようなものが見えてきた。

お堂の中には白塗りのおじさんがいた。
右のほうを指さしている。
「あっちへ行け」という意味か?

崖のくぼみにナッの行者像。
だんだんそれらしき雰囲気が高まってきた。

隣の堂にはシンウーパゴと思われる仏像。
通常は斜め上を見上げている姿なのだが、これは横のほうを見ている。

しばらく行くと、山のほうへ続いている小さな石段があった。ここが登山口なのか?
さっそく登ってみる。
すぐに踊り場のような場所に出る。ここは岩陰の小さな鍾乳洞で、6~7体の仏陀像が並んでいた。通路は左奥のほうへと続いている。

この踊り場がくせ者で、雨のせいか湧き水のせいか水に濡れていて、水垢のせいで滑るのだ。
踊り場に水勾配がつけてあるのだが、そのわすかな勾配で滑り落ちてまったく前に進めないほどのヌメヌメ状態。

1秒だって立って歩くことができない。四つんばいで何とか進めるというありさま。
まるで昭和のテレビでやってたドリフターズのコントみたいだ。

通路を進むと、岩の裂け目のような洞窟がある。

洞窟の中を進む。

裏側まで抜けている。
この洞門がパアプゥ山の登山口なのだろうか。

ところが、洞窟を抜けた先には仏像と仏塔があるだけだった。
何とか先に進むルートがないか探したが、ここで行き止まりだ。

どうやらここはパアプゥ山の登山口ではなかったようだ。道に戻らなければ・・・。
あのヌメヌメの踊り場をまた通過しなければならないと思うと気が重い。
(2014年07月12日訪問)