パアン市から北西方向に見える小山、パアプゥ山。
その姿はまるで葛飾北斎が描く富士山のようである。
これからこの山を目指す。
山の頂上は2つあり、手前の山頂にはパゴダがあるのが遠くからも確認できる。
ふもとからの標高差は目測だが150m程度だろうと思う。
パアン市からは渡し舟でサルウィン川を渡り、船着き場のあるパアプゥ村から北へ1kmほどいったところに、わかりやすい登山口があった。
うん、これなら見落とすことはない。
山頂への道はほぼコンクリの石段になっている。
登りはじめの100mくらいに僧房が数軒ある。
石段は尾根筋に作られているので、すぐに高度が上がる。
ときどき振り返るとサルウィン川がどんどん眼下になっていく。
しかし直前まで雨が降り続いていたので湿度が高く、山登りには快適な環境とはいいがたい。すぐに汗だくだ。
登山道の途中には街路灯が付けられていた。ペットボトル製の手作りなので漏電しそう。
ミャンマーでは電柱での配線もスパゲティ状に絡んでいたり、ガイシを使っていなかったり、かなり粗雑だ。電柱から先の引き込みなど、竹の柱で自作していたりする。幹線の高圧鉄塔も背が低く、送電インフラについては全般的に雑だ。それが停電が多い原因にもなっているのだろう。
10分くらい登ったところに大岩があり、その下が瞑想所(?)になっている場所がある。
15分くらい登ると休憩所と第1のパゴダがある。
休憩所は中を通り抜けられるようになっている。一種の門か、割拝殿的なものである。
ここまで来ると少し風もあるし、休憩すると気持ちがいい。
第1パゴダ。
ここからさらに登ったところに第2パゴダが見える。
ひと休みして第2パゴダへ向かう。
第2パゴダまではすぐだ。
ふもとからここまで20分あれば登れるだろう。
第2パゴダは尾根に着き出した岩の上にある。
岩の端に立つと風がよく通るため気持ちがいい。
第2パゴダの基壇からは東方向の180度の眺望がひらける。
北側、つまりサルウィン川の上流方向にはミザン山という小山が見える。サルウィン川の東岸であり、パアン空港の付近になる。
GoogloMaps の航空写真でミザン山を観察すると、小さなお寺くらいはありそうなのでいつか訪れてみたいものだ。
南側、つまりサルウィン川の下流方向は、パアプゥ村である。水上寺院のようなものが見えた。行ってみたいなあ。
東側に見えるパアン市の景観は圧巻である。
これまで平面的にしか眺めたことがなかったパアン市街地を鳥瞰できるので、河港をもとに発展した市街地の成り立ちがよくわかる。
山頂の岩体の上にもなにかありそうなのだが、途中が大きく崩壊していて登山ルートは再建されていなかった。
この崩壊はつい最近起きたものらしい。
岩にすがりついてよじ登れば山頂まで行く方法はありそうだったが、崩落から時間が経っていない崖はまだ岩が不安定な可能性もあるため無理はやめておいた。
下山すると欧米人の観光客とすれ違った。たぶん二人連れの女性で、一人は現地のガイドだろう。道を聞かれたので教える。やはり私と同じように登山口を探しながらここまで来たのだと思う。
中央の女性のお尻に注目。きっと、手前にあった洞窟パゴダの踊り場のヌルヌルでスッテンコロリンしたに違いない。
パアプゥ山からさらに北側に見える小さな山にも、いくつか仏塔が見えた。
だがまた天候が悪化してきたので、これ以上の散策はやめて引き上げることにする。
帰りの渡し舟に乗っている最中に雨が降り出し、この日はもう雨が止むことはなかった。
(2014年07月12日訪問)